日経新春杯 予想

日経新春杯 2019 予想 穴馬の特徴と穴馬候補

更新日:

日経新春杯の穴馬の特徴に符合した重賞レース穴馬候補をランキングへ更新。

京都金杯は2着(5番人気)マイスタイル、3着(11番人気)ミエノサクシードが符合していました。

順位は70位くらい

順位は40位くらい

※ 出走確定前に更新しています。回避や除外の場合があります。

 

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※ 下記は有料メルマガでお届けした過去の日経新春杯馬体診断考察

○ 2018年日経新春杯 馬体診断考察

ミッキーロケット
※ 天皇賞(秋)時の考察

母の父ピヴォタルは海外でビッグレースを勝利した多くの一流馬を出しているが、日本では実績がないため、体型など詳細な情報がない。ミスプロやヌレイエフのクロスがある点からも何とも言えないが、首さしの太さなどは父キングカメハメハの影響が出ていると思われ、同じ父を持つトゥザグローリーに体型が似ている。

距離は1800m以上がいいと考えたが、2400mあたりに本質があるか。ややパワーにベクトルが傾いている点から坂のあるコースは合う。蹄の形からダートもかなり走るかもしれない。手先の軽い走りをしており、芝の道悪はあまりよくないと考えたが、蹄の形や戦績から問題ないよう。

瞬発力に特化したタイプではないが決め手があり、ある程度ボリュームがある点から、前でもレースが出来る。直線が長いコースで結果を残しているが、小回りコースも対応できるはず。若干重いつくりから、上がりが速すぎるレースや、決め手、瞬発力勝負になると分が悪いはず。

飛節に角度がなく、スムーズに先行できない点は能力的にマイナス材料だが、そこまで問題はない。全体のバランスは悪くなく、腰のつくりや背中のラインなども良好。一番の長所は皮膚が薄い点でやはり素質は高い。

3歳春は出遅れなども響いて結果を残せずにいたが、重賞を勝てる可能性があるものの、もう少し時間がかかるかもしれないとお伝えした。ひと夏を越してかなりよくなったが、3歳秋の段階ではもう少し背が伸びて成長してくる余地があったように感じた。

明け4歳を迎え、3歳時と比べると背が伸びた印象で古馬らしくなってきているが、それでもまだ4歳春の時点では筋肉がつく余地があった。ひと夏を越して4歳秋のシーズンを迎えるが、馬体のボリュームが増しており、よりキングカメハメハの影響を感じさせるつくりになってきた。

3歳秋の神戸新聞杯では皮膚の質感がよく、状態面では実績馬をリードしていた点が好走の要因。菊花賞は長距離仕様だったのかもしれないが、その時よりも馬体をこじんまり見せており、古馬になってからの写真と比べてみても出来が落ちていたように感じる。

2017年初戦の日経新春杯は勝利したが、ややずんぐりしており休み明けの影響を感じさせたが許容範囲であった。京都記念はすっきりと仕上がっていたが、馬体の張りという面でやや物足りなさを感じさせた。

大阪杯では馬体の張りが増しており、頭を小さく見せて状態は上向いていた。宝塚記念ではさらに輪郭がくっきりしており、状態がいいと考えた。しかし、宝塚記念時や菊花賞時など馬体が華奢に見える時はよくないよう。

前走京都大賞典は同じ休み明けの日経新春杯時と比べると、余裕残しが感じられたが、日経新春杯時や神戸新聞杯時のように馬体をふっくらとみせている時の方がいいタイプのよう。

今回は京都大賞典時よりも絞れて確実に上向いており、今回は比較的ふっくらとしている。前走はかなり仕上がり途上という感があったが、ここに照準をうまく合わせた印象がある。

京都大賞典、宝塚記念に関しては、結果を完全に参考外と考えていい。大阪杯は物足りない結果であったが、後方からのレースと距離不足もあったか。

今回も2000mであるが、東京芝2000mの方がスタミナが要求され、道悪でタフな条件となることはプラス材料。上がりがかかるレースになる点も好材料。

今回、意外とネックになりえるのが真ん中の枠に入っている点。スワンSなどもそうであったが、道悪の場合は内枠や外枠など極端な枠の方がいいケースがままみられる。ただ気にしても仕方がない面があり、人気がなければ面白い存在ではある。

ロードヴァンドール
※ 札幌記念時の考察

デビュー前の馬体写真をみると、やや骨格がしっかりしており、パワータイプで、父ダイワメジャーの影響が出ているよう。坂のある阪神で2勝を挙げているが、平坦コースの適性は劣る。腹のラインを見ると心肺機能が高く、後肢の関節部分である飛節の角度からも前でのレースが合う。

心肺機能が高いつくりから、長い距離に適性を見せる可能性があると考えたが、肩の角度などから1800mから2200mが合うか。決め手で劣る点から小回りコースの方がよく、非根幹距離などの方がいい。

馬体のバランスはまずまずといったところで、馬体のつくりで脚質的な齟齬がない点や腰のつくりから重賞で通用する可能性はある。今回馬体を見てもなかなかいい馬で印象に残ったと。

大阪杯時はかなり華奢な印象であったが、筋肉が落ちていた。今回、ボリュームが増しており復調はしているが、メリハリを欠いてやや立派な感がある。ただ、皮膚の質感はよく、元来太く見せるタイプの可能性もある。

金鯱賞で逃げて2着と好走しているが、前半1000m60秒4、後半1000m58秒8という時計で、ややゆったりしたペースで推移し前有利の展開であった。ただ、その前の小倉大賞典は厳しいペースの中を先行して4着に踏みとどまっている。

底を見せていない点から軽視は近もつかもしれない。4枠4番と内目の枠に入っており、前でレースが出来る点から高速馬場となれば最も追い風となる馬で、馬場状態次第では押さえることを検討したい。

モンドインテロ
※ 日経新春杯時の考察

父ディープインパクト、母の父ロベルトの影響が半々くらい出ているように感じる。上半身のボリュームを見るとまずまず心肺機能が高そうで、胴が長めなつくりから中距離以上の距離が合う。コースや脚質はあまり問いそうにない。前でレースをすすめ、決め手を生かす形が最も結果を残すことが出来るパターンか。

馬体にこれといった長所はないが、全体のつくりやバランスはまずまずといった感じで、重賞で通用してもおかしくはない。ただ、2016年暮れのステイヤーズSは上位2頭の長距離適性に屈し、その前のアルゼンチン共和国杯はペースが落ち着いて瞬発力勝負となったが、決め手で劣った点が敗因。器用貧乏な部分があり、安定して走るが、結果を残しにくいかもしれない。

今回初めてデビュー後の馬体を見るが、上半身の輪郭がもう少しくっきりしている方がよく、毛ヅヤから体調もそこまでいいという感じはない。条件は悪くないため、印をまわしたいが、56.5キロを背負う点も割引必要。過去の傾向から斤量を背負った場合は、ペースが上がると厳しく、ペースが落ち着いた場合は脚を余すリスクが出るが、その点からも軽視したい。

トルークマクト
※ 金鯱賞時の考察

2歳時の馬体写真を見返してみると、馬体の幅はあるが、ボリュームが発達したタイプではなく、スピードの持続力を有しているように見受けられた。ただ、その後上がりの速いレースで結果を残しているが、タイプが変わっている可能性があり、何とも言えない。

コンパクトな体型からも長距離に適性がある可能性はある。課題は首の使い方がよくない点で、距離延長への対応力においてもマイナスとなり、シャドーロールを着用するなどの対策をした方がいい。1600万条件の勝利は辛勝。体重が増えていたりというプラス材料もないため、食指が伸びない。

ソールインパクト
※ 七夕賞時の考察

馬体を見る限り父ディープインパクトよりも母方の特徴が出ているように感じる。首の位置が高く、距離に限界があると感じたが、手脚や胴が長めで2000mもこなせる。広いコースの方がよく、飛節をみると後方からのレースが合うが、走法や馬体のフォルムからそこまでの決め手がない。決め手で劣る点からむしろ小回りコースの方がいい。

全体のバランスは悪くないが、ボリュームが乏しくスピードの絶対値でも劣るため、先行しても押し切ることが出来ず、素質ほど結果を残しにくい。今回距離、コースなど条件は悪くないため、枠など外的な要因があれば好走の可能性はある。

ヒットザターゲット
※ 金鯱賞時の考察

全体のバランスや背中のラインなどは悪くなく、勝利した新潟大賞典での配信で、デビュー前の馬体写真から能力的に重賞を複数勝てるだけの素質を持っているとお伝えした。2012年時に馬体をみた際は、父キングカメハメハの産駒としては胴が短めで距離にはやや限界があるタイプで2000mまでがいいと感じた。

その頃と比べると、かなり胴が長くなった印象で、手脚が伸びてきて現在のつくりであれば2000m以上の距離にも問題ない。より決め手が生きる直線が長いコースや広いコースの方がいいが、それほどフットワークが大きくない点や、勝利した福島民報杯のレースを見る限り、小回りコースにも対応できる。

骨格などは父の特徴が出ているが、500キロを超える馬体重がありながら重さを感じさせなかった。以前は、どちらかというと平坦コースの方がよかったが、以前よりもパワーが増しており、坂のあるコースも問題なさそう。蹄の形から道悪はあまりよくなく、時計の速い馬場が合う。

以前はもう少しボリュームが目立っており瞬発力が要求される条件よりもスピードを生かし先行して押し切るレースが合うと感じたが、薄手な体型となっており、下半身の関節部分である飛節に角度がない点からも後方から決め手を生かすレースをしているよう。

2014年の天皇賞(秋)ではペースが落ち着いて位置取りも後方過ぎたが0秒2差と好走。直線で抜け出すのに手間取って脚を余した感もあり、残り200mしかレースをしていなかったが、G1でもあわやというシーンをつくっている。

決め手が生きる直線が長いコースの方がいいが、距離と坂のあるコースは問題ない。昨年は13着と大敗しているが、ペースが落ち着いて脚を余した。能力のピークの時期は2014年の夏から2015年の夏ごろにあったと思われるが、能力の減退は否めない。

ただ、近走のレースをみると、有馬記念、ジャパンカップはともにペースが落ち着いて脚を余していた。京都大賞典では気性的な難しさをみせたことが影響しており、札幌記念、宝塚記念はともに不得手な道悪が敗因。目黒記念では3着と好走しており、能力の減退はまだ明確ではない。

くわえて、今回はステファノス、ルージュバックといった実力馬の状態に不安があり、ヌーヴォレコルト、タッチングスピーチなども牝馬特有のスランプに陥っている可能性がある。12月に行われていた頃の金鯱賞とは芝には差があるが、高速馬場の2016年を除けば決め手が生きるレースであった。条件は合い、状態次第では馬券に絡んでもおかしくはない。

ベルーフ
※ 小倉記念時の考察

父ハービンジャー、母の父はサンデーサイレンスという組み合わせであるが、母はステイゴールドの全妹で重賞を2勝したレクレドールという良血。手脚や胴が長く、下半身が薄いつくりはレクレドールに似ており、上半身のつくりはステイゴールド産駒のナカヤマフェスタに通じるものがある。

その点から坂のあるコースも問題なく対応できるが、そこまで頑健なつくりでないため、比較的平坦コースの方が合うか。蹄の形や走法をみると道悪の馬場も苦にしないはず。

上半身に体高があり、トップスピードの速さにいいものを持っている馬で、決め手で勝負をするタイプ。ただ、全体的にややボリュームと丸みがあるつくりから上がりの速いレースよりも上がりのかかるレースの方がいい。

差し馬であるが直線が長いコースであれば上がりの速いレースの適性がある馬にやられやすく、ペースが上がった小回りコースの方がいいか。

全体的なバランスに破たんがなく、上半身のボリュームがまずまずある点、つなぎに柔軟性を感じさせる点から、3歳時に重賞を複数勝てる素質はあるとお伝えしたが、バランスがそれほどよくなく、条件を選ぶ点から評価を下方修正したい。

前走エプソムカップは後方からレースをしたがペースが緩んだことが敗因。都大路Sは負け過ぎで、道悪は対応できるが、不良馬場が影響したかもしれない。六甲Sは距離不足で、小倉大賞典は休み明けが敗因。

能力の減退は明確ではなく、昨年より1キロ重い57キロを背負うが、重賞実績馬が多かった昨年よりもレベルが低く、能力は上位。

過去このレースで2年連続2着と好走しているが、過去好走した馬が再度くるレースでもあり評価が必要。出来に関しても、昨年、一昨年より締まっており申し分ない状態。

○ 2017年日経新春杯 馬体診断考察

マドリードカフェ

全体のフォルムを見ると、父マンハッタンカフェの影響が出ており、広いコースが合うが、首がやや高く、ボリュームのある体型から前でのレースが合うはず。決め手で勝負するというタイプではなく、じわじわ伸びるタイプ。それほど心肺機能が高いように見受けられないが、手脚や胴の長さにくわえ、肩の角度に窮屈な部分がない点から長い距離に対応できる可能性がある。

2015年の暮れに体重が20キロ近く増えているが、本格化しているようで、スタミナが要求されるレースで結果を残している。馬体のバランスは決して悪くないが、年齢を考えるとこれ以上の上積みはないか。それ故、重賞であれば斤量や脚質など何らかの恩恵がないと厳しいかもしれない。

大阪ハンブルクカップは決め手勝負になり2着に敗れたが、勝ったクリプトグラムは斤量が1キロ軽く、上りの速いレースも合う馬であった。目黒記念は体重が大幅に減っており、その後休養に入ったことからも状態が下降していたと思われる。

それが崩れた要因と思われるが、その際勝利したクリプトグラムよりも3走前のレースで内容のあるレースをしている点から、この馬の評価も上がる。アンドロメダSは休み明けにくわえ、距離が忙しかった点が敗因。ステイヤーズSは先行したが、ペースが上がって展開的に厳しかった。前走万葉Sは体重が36キロ増えており、結果を参考外と考えることが出来る。

馬体中の増減が非常に多い馬で、体質なのか管理なのかは定かではないが、その点も安定して結果を残すことができない要因か。過去の日経新春杯を見ると、手脚が長めで京都外回りコースが合う馬がきている。また、斤量が軽い逃げ先行馬も人気薄で好走している。

54キロで出走でき、前走は後手を踏んだが、前々走までは前でレースをしている。パンパンの良馬場で、時計の速い状況の方が前残りとなりやすく好走の可能性は高くなるが、ペースも落ち着きそう。穴馬のパターンに2つ符合している点から、絞れていれば面白い。

ウインインスパイア

デビュー前の馬体写真を見ると、上半身のつくりを見ると心肺機能が高く、肩の角度が寝ており、つなぎに角度があるつくり点からも距離が延びていいタイプ。つなぎのつくりをみると、広いコースの方がよさそうで、東京芝2500m3400mや阪神芝2400m中山芝2500mなどが合うか。

全体のボリュームから前でのレースが合い、その点が影響して小回りコースでも結果を残しているよう。3走前の丹頂Sはペースが落ち着いて脚を余した面があるが、能力的に劣っていた面もあるか。そのため、今後の成長がなければオープンでは斤量の恩恵を受けるレースでないと厳しいかもしれない。

前々走福島記念はハンデ戦で、53キロで出走できたが、距離が忙しかった。前走ステイヤーズSは別定戦で、ペースが厳しかった点からも大敗は気にする必要はない。今回、53キロで出走でき、前でレースが出来る点から穴馬のパターンに符合する。脚質や内枠に入っている点から、パンパンの良馬場の方が好走の可能性は高いが、ペースが落ち着きそうで、人気がなければ狙ってみたい。

モンドインテロ

父ディープインパクト、母の父ロベルトの影響が半々くらい出ているように感じる。上半身のボリュームを見るとまずまず心肺機能が高そうで、胴が長めなつくりから中距離以上の距離が合う。コースや脚質はあまり問いそうにない。前でレースをすすめ、決め手を生かす形が最も結果を残すことが出来るパターンか。

馬体にこれといった長所はないが、全体のつくりやバランスはまずまずといった感じで、重賞で通用してもおかしくはない。ただ、2016年暮れのステイヤーズSは上位2頭の長距離適性に屈し、その前のアルゼンチン共和国杯はペースが落ち着いて瞬発力勝負となったが、決め手で劣った点が敗因。器用貧乏な部分があり、安定して走るが、結果を残しにくいかもしれない。

今回初めてデビュー後の馬体を見るが、上半身の輪郭がもう少しくっきりしている方がよく、毛ヅヤから体調もそこまでいいという感じはない。条件は悪くないため、印をまわしたいが、56.5キロを背負う点も割引必要。過去の傾向から斤量を背負った場合は、ペースが上がると厳しく、ペースが落ち着いた場合は脚を余すリスクが出るが、その点からも軽視したい。

ヤマカツライデン

母の母は阪神JFを勝ち、秋華賞でも2着と好走したヤマカツスズラン。父シンボリクリス、母の父ダンスインザダークという血統で、いずれの影響が強いかは微妙だが、距離適性の面から母の父の影響が出ているか。

ある程度ボリュームがある体型で、上半身と下半身のボリュームが均等に近く、持続力を生かす前でのレースが合う。肩の角度が寝ている点から距離は延びた方がよく、タフな条件の方がいい。馬体のバランスなどはそれほどよくない。丹頂Sの勝利もペースが落ち着いた中を逃げており、斤量も53キロで、展開と斤量の恩恵があった。ただ、特異な条件に適性があり、重賞でも条件が合うレースで結果を残す可能性がある。

阪神大賞典、ステイヤーズS、ダイヤモンドS、目黒記念、アルゼンチン共和国杯などがそれにあたるが、前走日経新春杯はタフな条件に適性のある馬はよくない。今回も同じ距離、コースとなるが、ハンデ戦で、前有利となるケースが日経新春杯よりも多い点から、走ってもおかしくはない。ただ、55キロは微妙で、毛ヅヤや馬体の張りなど状態もそれほど強調できないため、展開が嵌らない限り厳しい。ペースが落ち着く可能性がある点から印をまわすことは検討したい。

ミッキーロケット

母の父がピヴォタルは海外でビッグレースを勝っている多くの一流馬を出しているが、日本では実績がないため、体型など詳細な情報がない。ミスプロやヌレイエフのクロスがある点からも何とも言えないが、首さしの太さなどは父キングカメハメハの影響が出ていると思われ、同じ父を持つトゥザグローリーに体型が似ている。

距離は1800m以上がよく、2400mまでこなしそう。ややパワーにベクトルが傾いており、坂のあるコースは合うはず。ダートもかなり走るかもしれない。ただ、手先の軽い走りをしており、芝の道悪はあまりよくないかもしれない。

若干重いつくりから、上がりの速いレースや、決め手や瞬発力勝負になると分が悪いはず。飛節に角度がなく、スムーズに先行できない点は能力的にマイナス材料だが、そこまで問題はない。全体のバランスは悪くなく、腰のつくりや背中のラインなど素質は悪くないものを持っており、3歳春の時点で重賞を勝てる可能性があるとお伝えした。まずまず皮膚が薄くやはり素質はある。

そこまで瞬発力に特化したタイプではないが決め手があり、直線が長いコースは合う。坂のあるコースの方がパワーは生きるだろうが、ある程度ボリュームがある点から、降り坂からペースが上がっていい脚を長くつかうことが要求されるこのレースは合うはず。2012年にこのレースを勝っているトゥザグローリーと体型が似ている点からもレースの適性はある。

神戸新聞杯では皮膚の質感がよく、状態面では実績馬をリードしていた点が好走の要因。前走菊花賞は超距離仕様だったのかもしれないが、その時よりも馬体をこじんまり見せていた。3歳秋の段階では、まだ筋肉量の面から能力的に上積みの余地を感じさせた。

今回は神戸新聞杯時のボリュームとそれほど変わらず、それほど成長している感はない。馬体が立派という感まではないが、神戸新聞杯時の方が身体を大きく見せており、今回は上半身、下半身ともに馬体の張りで劣る。状態面は万全とは言えず、休み明けの影響を感じさせる。

レッドエルディスト

やや丸みを帯びたラインをしているが、上半身のつくりなどは父ゼンノロブロイの影響が出ていることを感じさせる。手脚や胴がやや長めで広いコースが合い、距離は2000mから2400m辺りが合う。上半身に体高がある点からトップスピードにいいものがある。後肢のつくりからも後方からのレースが合う。

ややボリュームのある体型で、スピードタイプに出ており、スラッとした決め手に特化したつくりであった方が結果を残せたように感じる。馬体のバランスはまずまずといったところで、馬体を見る限りG1まではどうかという印象がある。

青葉賞は2着という結果に終わったが、3着に0秒5差をつけ、上り2位より0秒6も速い最速の上りをマークしている。当日は馬場状態が非常によく、前でレースをするヴァンキッシュランを捉えることができなかった。そこまでスケールが大きいとは感じず、G1では厳しく、重賞を複数勝てるとまでは断言できない。

神戸新聞杯は距離、コースともに合い、決め手が要求されるレースという点からもベストの条件であった。馬体がやや立派な感があり、3着までという結果に終わったが、菊花賞は馬体が締まっており確実に上昇していた。

展開が向かなかった面もあり、結果を残すことができなかったが、今回は休み明けながらひとたたきされた菊花賞時よりも輪郭がくっきりしており出来は上。間違いなく神戸新聞杯よりも出来はよく、その際にミッキーロケットに0秒5差をつけられたが、今回は状態面でアドバンテージがあり、斤量も1キロ軽いため逆転する可能性の方が高い。

問題は展開と馬場。蹄が小さいが、こういった馬は道悪でダメなケースか、得意とするケースか極端に分かれる。この馬はフットワークがきれいで、瞬発力や切れ味で勝負をする点から、馬場の悪化はよくないかもしれない。ただ、良馬場で若干時計のかかる馬場であれば、前残りの可能性は下がるためプラスに働く可能性がある。ペースが落ち着く可能性がある点から脚を余すリスクはあるが、良馬場であるなら実績馬の中で評価をしたい。

レーヴミストラル
※ 天皇賞(春)時の考察

父キングカメハメハで、阪神JFを勝ったレーヴディソールの半弟となる良血。母の産駒には、晩成タイプでありながら、完成度で劣った3歳春に青葉賞を勝ち、ダービーでも掲示板に載ったアプレザンレーヴもいる。3歳秋にリタイアしなければG1に手が届く可能性がある逸材であったが、母はかなり優秀な繁殖牝馬と言える。

青葉賞時の配信時にデビュー前の馬体写真を確認したが、全体のバランスが良好で、飛節も美しく、G1で好走出来る素質があるとお伝えし、本命に推した。手脚が長めで、上半身に体高があり、トップスピードにいいものがあり、決め手で勝負をするタイプ。つなぎの柔軟性に非凡なものを感じさせ、フットワークがゆったりしている点から、距離延長に対応できるよう。ただ、角ばったつくりをしており、本質は中距離にある。

3歳時に陣営が、よくなるのは古馬になってからというコメントを残していたが、体型的に上半身の筋肉の盛り上がりが出てきて、胴が伸びるなど変化がみられるように思う。日経新春杯ではまだ上半身のボリュームが乏しく、よくなるのは秋になると感じた。その点にくわえて、56キロという斤量や金鯱賞での出遅れも気になったが、全くの杞憂で、高いパフォーマンスを見せる結果となった。

前走京都記念は日経新春杯よりもメリハリを欠いていたが、決め手で勝負をする馬で、道悪が大きく影響した。今回はその時よりも馬体のボリュームと張りが増しており、成長と状態の良化両方を感じさせる。問題は距離と、決め手で勝負をする点。今後結果を残していく可能性が高まっているが、今回は軽視したい。

カフジプリンス
※ 神戸新聞杯時の考察

ややパワーにベクトルが傾いているつくりで、母の父シンボリクリスエスの影響が出ているように感じる。後方からレースをしているが、持続力で勝負をする馬で、前でレースをして押し切るレースの方が持ち味は生きるように感じる。

坂のあるコースは合い、距離も対応できるが、上がりの速いレースの適性と能力でも劣る。前走丹頂Sで敗れているが上がりの速いレースとなり、前有利となっていた。今回、人気馬が状態に問題があり、凡走のリスクがある馬もいるため凡走の可能性はある。転回が向けば一角を崩す可能性はある。

アクションスター
※ 2015年日経新春杯時の考察

上半身の骨格や手脚の長い体形などをみると、明らかに父アグネスタキオンの特徴が出ており、初めて馬体をみた際にすぐに父の仔であることが分かった。全体のバランスは良好で、つなぎにも柔軟性を感じさせる。父と同様に前肢が身体の内側に入っており、体の柔らかさもある。持っている素質は高く、上半身に窮屈な部分があり、フットワークの小ささにつながっている点がマイナス材料。

アグネスタキオン産駒はダイワスカーレットがスピードの持続力で勝負をするタイプ、ディープスカイはスピードタイプであったが、この馬はかなり決め手にベクトルが傾いたタイプ。同じアグネスタキオン産駒のミステリアスライトと体形が似ているが、こちらの方が上半身にボリュームがあり、スピードの絶対値は高い。

距離は1600mから2400m辺りが守備範囲で、2000m近辺がベスト。ただ、上半身のつくりや首の高さをみると、距離短縮はプラスになりえる。京都外回りコースは合うが、2400mは長いように感じる。瞬発力に秀でたタイプと考えたが、頑健なつくりをしている分、ある程度ペースは上がった方がいいかもしれない。

決め手で勝負をする馬でありながらパワーを兼ね備えており、坂のあるコースもこなしそうだが、後肢の付け根から飛節までの長さなどをみると、若干器用さを欠く部分があるかもしれない。ただ、フットワークが小さく、広いコースもよくなく、そこが大成できない要因か。京都金杯は内枠決着で枠が堪え、脚を余した感もあるが、今回も時計の速い馬場で後方からのレースでは厳しいように感じる。

アドマイヤフライト
※ 阪神大賞典時の考察

父マンハッタンカフェ、母の父トニービン、母の母方いずれの特徴が出ているか定かでないが、胴長で骨格がしっかりした体型をしている。コースはそれほど問わないが、どちらかというと広いコースの方がよく、肩の角度が寝ている点から距離は2000m以上がいいが、首の高さから3000mの適性は微妙も、展開や条件次第ではこなせるか。

長距離レースの結果をみると、2015年のダイヤモンドSは次走の中日新聞杯の結果からも状態の下降があったようで、2014年の天皇賞(春)は決め手が要求されるレースが厳しかった。2015年の丹頂Sで2着があるが、斤量がお同じヒラボクディープに0秒6差をつけられており、物足りない内容。ただ、過去の戦績をみると、寒い時季に結果が出ており、涼しい北海道のレースではあったが、状態に上積みの余地もあったかもしれない。

ある程度決め手もあるが、先行して押し切るレースの方が合う馬で、クラスが上のレースでは瞬発力が要求される展開になると厳しい。後方からのレースでは、馬場状態がいいレースやペースが落ち着いた場合は後方からのレースでは届かないというケースも出てくる。そのため、前でレースをする方が安定して結果を残すことが出来る。

2013年の暮れに1600万条件を勝った際、休み明けでプラス18キロと体重が増えており、その次の日経新春杯では体重が2キロ減っただけでほぼ同じ水準であったが、太めがなく、増えていた数字は全て成長分であった。

前走白富士Sは距離が忙しく、前々走日経新春杯は休み明けで、能力の減退は明確ではない。土曜の阪神の結果をみると、道悪のレースであったが、良馬場と変わらない水準の時計が出ている。先週まではかなり速い時計で決着しており、2011年のように極端に時計が速い馬場となっていれば、出走頭数が少ないことからも前有利になる可能性が高まる。その辺りにも期待して人気がなければ印をまわしたい。

ダコール
※ 小倉記念時の考察

父ディープインパクトという血統であるが、骨太で容量のある体型をみると、母の父アンブライドルドの特徴が出ている。勝っているのは全て平坦コースであるが、パワーも兼ね備えており坂のあるコースは問題ない。手脚や胴の長さ、腰のつくりから決め手で勝負をする馬であるが、骨格ががっしりしているつくりからも速いペースの方が合い、ペースに左右される部分もある。距離は1800mから2400m辺りが守備範囲となる。後肢のつくりをみると飛節の角度がないため、後方からのレースが合う。

小回りコースにもある程度対応可能であるが、本質的には直線が長いコースの方がよく、ベストは直線の長い外回りコースで行われる阪神芝1800mや阪神芝2400mなど。小倉や京都内回りコースでも結果を残しており、今回決め手が要求されるため条件は合う。また、グレイソヴリン系の馬が結果を残しているが、母方にカロが入っており、血統的にも符合する。

上半身に体高がありトップスピードにいいものをもっているが、腰高で肩と腰の角度が異なる点からバランスがよくない馬で、即座に重賞レベルと断言できるほどの素質は感じられなかった。上半身のつくりにも弱点があり、肩の傾斜が窮屈なため完歩が小さくなる点も能力的にマイナス材料。今後良化してくる可能性もあるとお伝えしてきたが、年齢を考えると難しいか。

2014年の終わりごろに体重が480キロ近辺まで増え、6歳近くになり完成された感があるが、かなりの晩成タイプ。前走七夕賞は内枠有利で、枠の恩恵があった。その点や58キロを背負う点から嫌いたいが、前走よりも馬体のメリハリがあり、出来がさらに上向いている。距離、コースともに申し分なく、何よりこのレース向きの決め手がある点からも評価が必要となる。

トルークマクト
※ 金鯱賞時の考察

2歳時の馬体写真を見返してみると、馬体の幅はあるが、ボリュームが発達したタイプではなく、スピードの持続力を有しているように見受けられた。ただ、その後上がりの速いレースで結果を残しているが、タイプが変わっている可能性があり、何とも言えない。

コンパクトな体型からも長距離に適性がある可能性はある。課題は首の使い方がよくない点で、距離延長への対応力においてもマイナスとなり、シャドーロールを着用するなどの対策をした方がいい。1600万条件の勝利は辛勝。体重が増えていたりというプラス材料もないため、食指が伸びない。

○ 2016年日経新春杯 馬体診断考察

シュヴァルグラン

胴が長く、肩の角度が寝ており、距離は2400m以上が合い、馬体のタイプとしてはテイエムオペラオーと共通点が多い。背中のラインが長い点など、ジャスタウェイと共通する部分があり、父ハーツクライの影響が出ているよう。

広いコースの方が合うが、ある程度ボリュームもあり、小回りコースも対応できる。デビュー前の馬体写真と比較すると、上半身のボリュームが増しており、全体のバランスも良化している。つなぎにも柔軟性を感じさせ、素質はかなりのものを持っており、ここを突破するようであればG1でも通用しえる。ただ、この馬に合うG1の舞台は、天皇賞(春)やジャパンカップなどに限られる。

状態に関してはもう少しメリハリが欲しく、当日体重が増えている場合は割り引いて考える必要がある。3歳春の時点では体重が460キロ台であったが、ひと夏を越して470キロまで増えており、数字の上においても成長を感じさせる。前走オリオンSでは2着に0秒5差をつけて完勝しており、レースVTRを見てもかなりの脚をつかっていると感じさせたが、上がりは2位より0秒7速い最速の脚をつかっている点からも非凡さを伺わさせる。

1600万条件を勝ったばかりの馬が人気になることがあるが能力は高く、今回条件は合う。問題があるとすれば展開と余裕残しがないかという点。ただ、ある程度前でもレースが出来、極端な前残りや体重増がなければ勝利に近い存在。

メイショウウズシオ

上半身を中心としたボリュームは父オペラハウスの影響を強く感じさせ、腹のラインなどからかなり心肺機能も高いはず。同じオペラハウス産駒のメイショウサムソンにもよく似ている。馬体のバランスや全体の迫力から元来もっている素質は高い。2歳時に初めて馬体をみた際、開花すればG1レベルでも好走出来るレベルの馬と感じたが、蹄の形や血統からも日本の時計の速い芝には対応出来ないよう。

つなぎの長さから広いコースの方がよく、距離が延びていいタイプであると感じていたが、2歳時にみた際は肩に窮屈な部分があった。それが解消されてくればもっと走る可能性が高いとお伝えしていたが、それほど変わった感じはなく、その点も大成できない要因。

蹄の形や全体の骨格や血統的な面から時計がかかる馬場の方がいい馬で、つなぎの角度が寝ている馬は通常道悪はよくないが、結果を残している。時計のかかる開催末期の芝や洋芝、そして海外のレースでも走るかもしれない。坂のある中山や阪神の方が合い、つなぎの柔軟性から外回りコースの方がよさそう。距離は2400m以上でも問題ない。

過去人気薄で走っている馬を見ると、斤量が軽い先行馬がきている。ペースが落ち着くことが多く、とりわけ今年は出走頭数が少なく、前でレースをする馬も少ない。特に馬場状態がいい場合は注意が必要となる。降雨の予報が気になるが、当日良馬場で、人気がなければ駄目もとで狙ってもいい。

シャドウダンサー

父ホワイトマズル、母ダンスインザムードという血統であるが、母は肩の角度が立っており、マイルで活躍した。この馬はボリュームのある体型をしており、父方の特徴が出ているか。前でのレースが合い、中距離に本質がある。胴の短さなどからも、どちらかというと小回りコースの方が合うはず。馬体の面からこれといったセールスポイントがなく、重賞で結果を残すには、展開や斤量など何らかの外的な要因が必要。今回距離がやや長く、外回りコースの適性も微妙。

前日や当日の京都の芝のレースで内が伸びる馬場で、近年と同じ水準の時計であれば、内枠の逃げ先行馬が有利になりえる。また、斤量が軽い前でレースする馬がきており、54キロも追い風となる。8月以来のレースであるが、休み明けで2勝しており、鉄砲は利くため、印をまわすことを検討したい。

アドマイヤフライト

父マンハッタンカフェ、母の父トニービン、母の母方いずれの特徴が出ているか定かでないが、胴長で骨格のしっかりした体型をしている。ある程度決め手もあるが、それほど瞬発力にベクトルが傾いた馬でない。

脚質に柔軟性があり、先行するレースも可能であるが、馬場状態がいいレースやペースが落ち着いた場合は後方からのレースでは届かないというケースも出てくる。そのため、前でレースをする方が安定して結果を残すことが出来る。コースはそれほど問わないが、どちらかというと広いコースの方がよく、距離は2000m以上がいいが、首の高さから3000mの適性は微妙も、展開や条件次第ではこなせるか。

2013年の暮れに1600万条件を勝った際、休み明けでプラス18キロと体重が増えており、その次の日経新春杯では体重が2キロ減っただけでほぼ同じ水準であったが、太めがなく、増えていた数字は全て成長分であった。

一昨年のこのレースでは、上りの速いレースとなった点からもサトノノブレスの逃げ残りを許す結果となり、昨年も3着と好走している。今年の方が出走馬のレベルは高いが、昨年、一昨年と同じ56キロで出走出来、内枠に入っている点、前でレースが出来る点は好材料。そして昨年も休み明けで好走したが、今回馬体にメリハリがあって状態はかなりいい。

レーヴミストラル

父キングカメハメハで、阪神JFを勝ったレーヴディソールの半弟となる良血。母の産駒には、晩成タイプでありながら、完成度で劣った3歳春に青葉賞を勝ち、ダービーでも掲示板に載ったアプレザンレーヴもいる。3歳秋にリタイアしなければG1に手が届く可能性がある逸材であったが、母はかなり優秀な繁殖牝馬と言える。

デビュー前の馬体写真を見ると、青葉賞時の配信で全体のバランスが良好で、飛節も美しく、G1で好走出来る素質があるとお伝えし、本命に推した。手脚が長めで、上半身に体高があり、トップスピードにいいものがあり、決め手で勝負をするタイプ。

つなぎの柔軟性に非凡なものを感じさせ、フットワークがゆったりしている点から、距離延長に対応できるよう。3歳時に陣営がよくなるのは古馬になってからというコメントを残しているが、体型的に上半身の筋肉の盛り上がりが出てきて、胴が伸びるなど変化がみられるように思う。

今回はまだ上半身のボリュームが乏しく、よくなるのは秋を迎えてからか。前走金鯱賞はスタートで後手を踏んだ点が響いたが、潜在能力は高く、ここでも上位にあり、力を出せる出来にある。ただ、56キロと後方からのレースはネックとなりえる。

サトノノブレス

どちらかというと広いコースの方がいい馬であるが、かきこむ様なフットワークをしており、瞬発力や決め手で勝負をするタイプではないため、小回りコースにも対応可能。距離は2000mから2400m辺りがベストと考えていたが、上半身の部分の胸囲や腹のラインから、距離は延びた方がよく、ベストは2400m以上か。

胸囲がまずまず発達し、心肺機能が発達しており、前でのレースが合う。菊花賞は馬場状態がよければ時計の速い馬場を追い風にしてバンデがそのまま残っていたと思われ、道悪の適性もプラスに作用したが、フットワークからも時計のかかる馬場は上手い。走法から内回りコースよりも外回りコースの方がいいはず。

2014年に4歳を迎えてからは、3歳時の秋よりも頭が小さく見えるようになり、首が細く映る点など背も伸びている点も成長を感じさせた。水準よりも晩成タイプのよう。2014年のアタマまでは手脚や胴が長目で上半身に体高があり下半身が薄く、父ディープインパクトの影響を感じさせる体型であったが、筋肉がつき切っておらず完成度はあまり高くなかった。2014年の夏になってから、以前よりもボリュームが増してきている。やや腰高だったバランスが改善された点も好材料で、能力的な上積みを感じさせた。

腰のてっぺんから尻尾にかけての部分が急激に垂れ下がる斜尻と呼ばれるつくりで、名馬に多くみられる特徴である。3歳の秋まではそれほど高い評価をしていなかったが、現在の馬体をみると重賞を複数勝てるだけのものを持っている。

一昨年のこのレースの勝ち馬であるが、前でレースをして展開の恩恵が大きかった。昨年は人気を裏切ったが、状態がひと息であった点が影響した。今年は昨年よりもすっきりと仕上がっている点は好材料。問題は脚質的な面で、過去のレースをみると、斤量が重い馬はペースが落ち着いた際に先行した場合のみきており、斤量が重く後方からレースをする馬は人気を裏切る可能性がある点。

ペースが平均より速いと斤量が重い馬は不振で、今年はペースが落ち着きそうな点からも、前でレースをした方が好走の可能性は高まるが、近走やや後ろでレースをすすめている点から割り引いて考える必要がある。

ベルーフ
※ 小倉記念時の考察

父ハービンジャー、母の父はサンデーサイレンスという組み合わせであるが、母はステイゴールドの全妹で重賞を2勝したレクレドールという良血。手脚や胴が長く、下半身が薄いつくりはレクレドールに似ており、上半身のつくりはステイゴールド産駒のナカヤマフェスタに通じるものがある。

その点から坂のあるコースも問題なく対応できるが、今回馬体を見ると、そこまで頑健なつくりでないため、比較的平坦コースの方が合うか。蹄の形をみると時計のかかる馬場も苦にしない。上半身に体高があり、トップスピードの速さにいいものを持っている馬で、決め手で勝負をするタイプ。下半身が薄い体型から瞬発力にベクトルが傾いており、スローの瞬発力も対応できる。

全体的なバランスに破たんがなく、上半身のボリュームがまずまずある点、つなぎに柔軟性を感じさせる点などから重賞を複数勝てる素質はある。馬体に余裕を感じさせるが、春先に感じた華奢な印象がなく、ここから絞れてから判然とするが、成長している可能性もある。今回ハンデ戦で、54キロで出走できるが、古馬に換算すると、56キロという数値となり、十分それを克服できる資質はある。

近走のレース内容を見ると、前々走のスプリングSで人気になっていたが、中山よりも直線が長いコースの方がいい馬で、馬場状態がよくペースが落ち着くと脚を余すリスクがあったため、評価を割り引いた。皐月賞でも凡走しているが、その後休養に入ったようにこの春は完調でなかったかもしれない。また、完成度で劣っていた面もある。

プロモントーリオ

胴が短いコンパクトなつくりであるが、ボリュームが発達した体型でスピードの持続力で勝負をするタイプ。2000mで結果を残しているが、長い距離に適性があり、2400m2500mの方が合う。瞬発力が要求される東京よりも中山などの方が合い、東京コースであれば直線の坂を2回通り、潜在的なスタミナが要求される芝2500mが合う。

下り坂からスパートするレースが出来ると思われ、京都の外回りコースの適性は悪くないはず。昨秋の東京は外差しが利く馬場であったが、前走アルゼンチン共和国杯は馬場の悪化もあり、外枠決着となったことが響いた。前々走で1600万条件を勝っているが、体重が12キロ増えており、能力的な上積みがある可能性がある。斤量55キロは微妙で、状態は強調できないが、前でレースをすれば好走の可能性はある。

ダービーフィズ
※ 有馬記念時の考察

父ジャングルポケット、母の父サンデーサイレンスで、全姉にクイーンSとクイーンカップを勝 ち、秋華賞で3着と好走したアプリコットフィズがいる血統。母は菊花賞、有馬記念、天皇賞(春)などを勝った名ステイヤーであるマンハッタンカフェの全妹 で、父ジャングルポケット、母の父サンデーサイレンスという組み合わせは、トールポピー、ジャガーメイル、ヒカルカザブエといった馬と同じ。

トー ルポピーがスタミナとパワー、ジャガーメイルが総合力、ヒカルカザブエはキレに特化しタイプというイメージがあるが、姉アプリコットフィズは距離適性が若 干異なるがジャガーメイルに近いタイプで、この馬も姉によく似ており、同じようなタイプ。胸前や胴長で上半身と下半身の筋肉量やフォルムはジャガーメイル によく似ており、父の特徴が出ている。

距離は1600mから2000mが合うと感じたが、2000m以下の距離がいい馬ほどボリュームが なく上半身に窮屈な部分もなく、手脚や胴の長さからもある程度長い距離に対応できるよう。蹄の薄さやつなぎが細い点から道悪は合わず、菊花賞で大敗してい るが、馬場の悪化が大きく影響した。ただ、血統的な面や函館記念の内容からも洋芝のレースは対応できそう。

上半身と下半身のボリュームが 均等に近く、基本的には先行していいタイプであるが、手脚の長さからそれなりの決め手も有している。ただ、ある程度ペースが上がったレースの方がよく、瞬 発力勝負は合わず、上がりのかかるレースの方が向いており、それが函館記念の勝因でもある。

コースや脚質はあまり問わないタイプであるが、それが逆に器用貧乏という特徴となり、姉はその点がG1レースで好勝負が出来なかった要因でもある。この馬も馬体を見る限り、能力的にはG2までという印象がある。

函 館記念の勝利も54キロに助けられた感があり、札幌記念もペースが上がって展開が向いた面もある。ただ、前走JCは勝ち馬と0秒4差と悪くないレースをし ており、前々走の天皇賞(秋)も体重が16キロ増えていたことが影響した。くわえて、上がりの速いレースも合わなかった。

ダコール
※ 小倉記念時の考察

父ディープインパクトという血統であるが、骨太で容量のある体型をみると、母の父アンブライドルドの特徴が出ている。勝っているのは全て平坦コースであるが、パワーも兼ね備えており坂のあるコースは問題ない。手脚や胴の長さ、腰のつくりから決め手で勝負をする馬であるが、骨格ががっしりしているつくりからも速いペースの方が合い、ペースに左右される部分もある。距離は1800mから2400m辺りが守備範囲となる。後肢のつくりをみると飛節の角度がないため、後方からのレースが合う。

小回りコースにもある程度対応可能であるが、本質的には直線が長いコースの方がよく、ベストは直線の長い外回りコースで行われる阪神芝1800mや阪神芝2400mなど。小倉や京都内回りコースでも結果を残しており、今回決め手が要求されるため条件は合う。また、グレイソヴリン系の馬が結果を残しているが、母方にカロが入っており、血統的にも符合する。

上半身に体高がありトップスピードにいいものをもっているが、腰高で肩と腰の角度が異なる点からバランスがよくない馬で、即座に重賞レベルと断言できるほどの素質は感じられない。上半身のつくりにも弱点があり、肩の傾斜が窮屈なため完歩が小さくなる点も能力的にマイナス材料。今後良化してくる可能性もあるとお伝えしてきたが、6歳という年齢を考えると難しいか。今回はレベルの高いメンバーが揃っており、能力的には上位の馬と比較すると劣る。

これまでの重賞レースでも人気になってきたが、能力の面から評価を割り引き、馬券の対象から外すなどしてきた。しかし、今回は馬体にメリハリがあってこれまでみてきた中で最も状態がいい。人気上位の馬に休み明けの馬がおり、斤量とレースをつかわれているアドバンテージがある点、決め手がある点から条件が合う点などから評価が必要となる。悩ましいのが道悪であるが、それほど首が動かないタイプであるためか、馬場が悪化したレースでも結果を残しており、問題はなさそうで、重賞制覇のチャンス。

○ 2015年日経新春杯 馬体診断考察

タマモベストプレイ

全兄にスワンS、シルクロードSを勝ったタマモホットプレイ、オープンで活躍するタマモナイスプレイなどがいる血統。馬体をみると、つなぎの短さや肩の角度、全体のシルエットなどから距離には限界がある。本質的にマイラーと感じたが、以前馬体を見た時よりもつなぎの角度が ゆったりしており、フットワークも比較的大きく、手脚や胴が長めでそれほどボリュームがない点などから距離延長に対応出来ているよう。

どちらかというと広いコースの方が合い、東京の2000mなどがベストの条件。時計の速い馬場や、スタミナが要求されない小回りコース、ペースが落ち着くレースなどであれば、もう少し長い距離も対応出来るよう。上半身と下半身のボリュームが均等に近く、先行していいいタイプ。ある程度の瞬発力勝負にも対応できるが、決め手で勝負をする馬ではない。

前走ジャパンカップは速い流れと時計のかかる馬場が堪えた。また、上りの速いレースはあまり合わず、そういったレースでは勝ちにみ遅い結果となりやすい。現在の京都の馬場をみると、時計の速い馬場で、土曜日も前でレースをする馬がきており、この馬にとって追い風となる。

不振に陥った時があったが、馬体をみる限り、今後も重賞を勝てるだけの能力はあるとお伝えしてきたが、全体のバランスは良好で腰のつくりからも能力は高く、G1は厳しいが、G2までであれば充分通用する。57キロは割引が必要だが、出走馬の中で出来がよく、脚質的な恩恵を受ける可能性が高い点からも評価が必要となる。

サトノノブレス

どちらかというと広いコースの方がいい馬であるが、かきこむ様なフットワークをしており、瞬発力や決め手で勝負をするタイプではないため、小回りコースにも対応可能。距離は2000mから2400m辺りがベストと考えていたが、上半身の部分の胸囲や腹のラインから、距離は延びた方がよく、ベストは2400m以上か。胸囲がまずまず発達し、心肺機能が発達しており、前でのレースが合う。

また、菊花賞は馬場状態がよければ時計の速い馬場を追い風にしてバンデがそのまま残っていたと思われ、道悪の適性もプラスに作用したが、フットワークからも時計のかかる馬場は上手い。小倉記念で2着に0秒3差をつけて完勝しているが、2着と差がついたのは、馬場の悪化も追い風になったか。

昨秋までは手脚や胴が長目で上半身に体高があり下半身が薄く、父ディープインパクトの影響を感じさせる体型であったが、筋肉がつき切っておらず完成度はあまり高くなかった。以前よりもボリュームが増してきている。昨年は3歳時の秋よりも頭が小さく見えるようになり、首が細く映る点など背も伸びている点も成長を感じさせた。水準よりも晩成タイプのようで、4歳を迎えて成長している。やや腰高だったバランスが改善された点も好材料で、能力的な上積みを感じさせた。

腰のてっぺんから尻尾にかけての部分が急激に垂れ下がる斜尻と呼ばれるつくりで、名馬に多くみられる特徴である。3歳の秋まではそれほど高い評価をしていなかったが、現在の馬体をみると重賞を複数勝てるだけのものを持っている。

金鯱賞は決め手の差が出て2着に終わったが、オールカマーは気性的な難しさをみせてくれずれた。能力的には今回のメンバーに入っても最上位にある。58キロはかなりの割引材料となるが、「重賞データ」でお伝えしたように前でレースをしてペースが落ち着けば克服の可能性がある。

昨年のこのレースを勝っているが、斤量が軽い逃げ先行馬が有利で、2分24秒4と速い時計で決着していたが、前残りに近いレースとなり、馬場や展開が大きな追い風となっていた。今年も展開の恩恵を受ける可能性がある点や条件が合う点から評価が必要であるが、58キロと気性面がリスクとなりえる。昨秋と比べると、若干馬体がりっぱな点からも、軸は避けたい。

ホーカーテンペスト

全体の骨格をみるとパワータイプに出ており、坂のあるコースの方が合う。過去の戦績をみても阪神や中山で結果を残している。ボリュームがあるタイプで胴も短めだが、コンパクトな体型でスタミナが要求される条件が合い、距離は2000m以上が合う。

ベストの条件は中山芝2200m2500mなどで、瞬発力で劣るため、潜在的なスタミナが要求される東京芝2500mも悪くない。ボリュームがあり、重心が低めで、首の高さと相まって先行した方がいいタイプ。小回りコースの方がスピードの持続力が生きるが、今回馬場状態がよく前でレースをする馬に有利になりえる点は好材料。内枠も追い風になりえる。

馬体のバランスは悪くなく、重賞でも通用するだけの素質は充分で、今後も重賞戦線で活躍できるが、55キロは有利になりえる。前走1600万条件で2着に0秒5差をつけて快勝しているが、ハンデ戦で57キロを背負っており、1000m通過後ペースが緩むことのない流れを先行追走しており、内容のあるレース。

前々走はスタートで出遅れており、後方からのレースとなったが、今回も前走と同じ浜中騎手が騎乗するため、前でレースをすると思われる。展開面の恩恵が期待出来、素質が高く、状態も申し分ないため狙いたい。ただ、広いコースの適性はやや割り引いて考える必要がある。

トウシンモンステラ

父キングカメハメハ、母の父サンデーサイレンスというなかなかの良血。デビュー前の馬体写真をみると、首の高さはキングカメハメハの影響を感じさせるが、手脚や胴の長さをみると、サンデーサイレンスの影響の方が強いと感じる。距離は2000m以上がよく、広いコースの方が合う。

今回、距離、コースともにベストの条件であるが、スローの瞬発力勝負が合わず、馬場状態がいい点からもペースが流れれば浮上の目が出てくる。全体のバランスはよく、素質は高いため、斤量の恩恵がある点からもここでも通用する可能性あり。前走で1600万条件を勝っているが、展開の恩恵もなく、まずまずの内容。ただ、大外枠に入った点、休み明けの点から軸には推せない。

コウエイオトメ

父ハーツクライ、母の父キングマンボという血統であるが、デビュー前の馬体写真を参考をみると、上半身のボリュームや腹のラインなどは母の父キングマンボの特徴が出ている。心肺機能が高く、距離は長い方がいい。後肢の関節部分である飛ぶ節の角度と併せても、前でレースをした方が持ち味が生きると感じる。

戦績をみても、広いコースの長距離戦は合い、51キロは有利。4着と好走した昨年よりも軽く、昨年の1~3着馬も出走しているが、1着サトノノブレス、3 着フーラブライドともに斤量が3キロ重くなっている。昨年はサトノノブレスに0秒5差をつけられ、ペースもやや遅かったが、昨年の斤量差が3キロであった が、7キロに広がっており、サトノノブレスが明け4歳で成長していることを考慮しても、流れ次第では逆転も充分可能と判断できる。ただ、たたかれてよくなるタイプで、厳寒期で2か月間隔が空く点はややマイナス材料。

ビービートレイター

デビュー前の馬体写真をみると、全体のバランスは悪くない。手脚や胴が長くスラッとした体型をしているが、広いコースの芝2400mは合い、このレース向きの決め手もある。東京や阪神外回りコースで結果を残しているが、過去の穴馬をみると、広いコースが合う馬がきており、それに符合する。

前走、前々走ともに敗れている が、休み明けであった前々走のプラス20キロという体重増が尾を引いている印象。3走前の1600万条件の勝利はタイム差なしの辛勝という結果であったが、スローの決め手勝負で2着馬は逃げ馬のため、あまりあてにならない。人気がないと思われ、しっかりと印をまわしたい。

ゼンノルジェロ

父シンボリクリスエス、母の父はG1で2着3回あり、重賞4勝しているフサイチエアデールという良血。
全体のボリュームや胴の短さをみると、父母いずれの特徴が出ているかは微妙であるが、胴が短めで全体のフォルムをみると、距離に限界があり、2400mの適性は微妙。また、小回りコースの方がいいため、距離、コースの適性で劣る。

馬体のバランスもまずまずといったところで、前走1600万条件を勝っているが、ハンデ戦で54キロ、ペースも落ち着いており、斤量と展開の恩恵があった。今回もハンデ戦で、53キロで出走できるが、能力的には通用しない可能性の方が高い。ただ、最内に入った点と前でレースが出来る点は大きな追い風となりえる。ペースが落ち着き、展開の恩恵を受けるということが大前提となるが、侮ることが出来ない。

フーラブライド

顔が大きいため首さしが短めのように感じるが、それ以外を除けば馬体のバランスは良好で、50キロの恵量もあり一昨年の愛知杯を勝っているがフロックではなく、今後も重賞レースで活躍できる素材とお伝えしてきた。牝馬らしからぬ骨格や蹄の形、父ゴールドアリュールという血統からダートでもかなり走るのではないかと考えたが、戦績をみるとやはりダートをつかわれている。

手脚や胴の長さは父系の特徴が出ており、広いコースの方がよく、坂のあるコースの方が合う。距離は1800mから2400mまで対応可能であると考えたが、腹のラインをみると、2000m以上がよく、牡馬であれば長距離で活躍していた可能性がある。

ある程度決め手も兼ね備えているが、腹のラインから先行した方がよく、後方からレースをするのであれば、ペースが上がった方がいい。牝馬戦はペースが落ち着きやすく、オークスなどを除けば、スタミナ優位の馬や瞬発力で劣るタイプが凡走するリスクがあり、逆に牡馬相手に走るというケースがあるが、この馬などもそれに該当する可能性がある。

エリザベス女王杯は4着と惜しいレースであったが、決め手の差が出た。愛知杯は道悪と斤量が微妙に影響したか。馬体の張りなど出来は申し分なく、今回距離、コースとも条件は合う。ただ、馬場状態がよく、脚を余すリスクがある点と55キロを背負う点はマイナス材料で、評価は必要であるが軸は避けたい。

アドマイヤデウス

叔父(母の半兄)に重賞3勝のアドマイヤフジがいる血統となるが、馬体がよく似ていた。以前は骨格やボリュームが発達しており、それほど瞬発力があるタイプではないと考えたが、かなり薄手なつくりとなっている。故障があり長期休養明けのため、筋肉が落ちている可能性が高いが、母の父サンデーサイレンスの特徴が出てきてタイプが変わっている可能性もある。

坂のあるコースは合う距離は2000m近辺がベストであると考えたが、胴が長めで2400mも対応可能。飛節の角度がない点から後方からのレースが合う。ペースが落ち着くと脚を余しやすく、特に小回りコースではその可能性が高まるが、瞬発力タイプになっているのであれば、対応できる。条件は申し分なく、休み明けであるが、馬体に余裕残しは感じられず、皮膚の質感など体調もよさそう。能力的に今後も重賞を複数勝てるレベルにあり、55キロは問題ない。しかし、若葉Sを勝っているが上り3ハロンの時計を全て11秒台でまとめているような馬であれば、G1レースでも好走可能な素質を有している可能性があるが、今年は12.1-11.8-12.0という時計で決着しており、そこまで内容のあるレースではなかった。前でレースをする馬が有利になりえる点、そして何よりも厳寒期で故障しての長期休養明けである点は大きく割り引いて考える必要がある。

アクションスター

上半身の骨格や手脚の長い体形などをみると、明らかに父アグネスタキオンの特徴が出ており、初めて馬体をみた際にすぐに父の仔であることが分かった。全体のバランスは良好で、つなぎにも柔軟性を感じさせる。父と同様に前肢が身体の内側に入っており、体の柔らかさもある。持っている素質は高く、上半身に窮屈な部分があり、フットワークの小ささにつながっている点がマイナス材料。

アグネスタキオン産駒はダイワスカーレットがスピードの持続力で勝負をするタイプ、ディープスカイはスピードタイプであったが、この馬はかなり決め手にベクトルが傾いたタイプ。同じアグネスタキオン産駒のミステリアスライトと体形が似ているが、こちらの方が上半身にボリュームがあり、スピードの絶対値は高い。

距離は1600mから2400m辺りが守備範囲で、2000m近辺がベスト。ただ、上半身のつくりや首の高さをみると、距離短縮はプラスになりえる。京都外回りコースは合うが、2400mは長いように感じる。瞬発力に秀でたタイプと考えたが、頑健なつくりをしている分、ある程度ペースは上がった方がいいかもしれない。

決め手で勝負をする馬でありながらパワーを兼ね備えており、坂のあるコースもこなしそうだが、後肢の付け根から飛節までの長さなどをみると、若干器用さを欠く部分があるかもしれない。ただ、フットワークが小さく、広いコースもよくなく、そこが大成できない要因か。京都金杯は内枠決着で枠が堪え、脚を余した感もあるが、今回も時計の速い馬場で後方からのレースでは厳しいように感じる。

ダコール
※ 小倉記念時の考察

父ディープインパクトという血統であるが、骨太で容量のある体型をみると、母の父アンブライドルドの特徴が出ている。勝っているのは全て平坦コースであるが、パワーも兼ね備えており坂のあるコースは問題ない。手脚や胴の長さ、腰のつくりから決め手で勝負をする馬であるが、骨格ががっしりしているつくりからも速いペースの方が合い、ペースに左右される部分もある。距離は1800mから2400m辺りが守備範囲となる。後肢のつくりをみると飛節の角度がないため、後方からのレースが合う。

小回りコースにもある程度対応可能であるが、本質的には直線が長いコースの方がよく、ベストは直線の長い外回りコースで行われる阪神芝1800mや阪神芝2400mなど。小倉や京都内回りコースでも結果を残しており、今回決め手が要求されるため条件は合う。また、グレイソヴリン系の馬が結果を残しているが、母方にカロが入っており、血統的にも符合する。

上半身に体高がありトップスピードにいいものをもっているが、腰高で肩と腰の角度が異なる点からバランスがよくない馬で、即座に重賞レベルと断言できるほどの素質は感じられない。上半身のつくりにも弱点があり、肩の傾斜が窮屈なため完歩が小さくなる点も能力的にマイナス材料。今後良化してくる可能性もあるとお伝えしてきたが、6歳という年齢を考えると難しいか。今回はレベルの高いメンバーが揃っており、能力的には上位の馬と比較すると劣る。

これまでの重賞レースでも人気になってきたが、能力の面から評価を割り引き、馬券の対象から外すなどしてきた。しかし、今回は馬体にメリハリがあってこれまでみてきた中で最も状態がいい。人気上位の馬に休み明けの馬がおり、斤量とレースをつかわれているアドバンテージがある点、決め手がある点から条件が合う点などから評価が必要となる。悩ましいのが道悪であるが、それほど首が動かないタイプであるためか、馬場が悪化したレースでも結果を残しており、問題はなさそうで、重賞制覇のチャンス。

ハギノハイブリッド
※ 神戸新聞杯時の考察

父タニノギムレットという血統で、首さしの太さや腹のライン、手脚や胴の長さなどは父の特徴が強く出ている。そして、それ以上に全体のボリュームをみると、クロフネ、キングカメハメハ、タニノギムレットといった馬と似たイメージがあり、いかにも松田国厩舎の馬という体型をしている。父タニノギムレットや代表産駒のウオッカもそうであったが、後肢の付け根から飛節までが長く角度があり、フットワークの大きさからもかなり器用さを欠く部分がある。

直線が長いコースの方がよく、距離は2000mから2400mがベスト。ペースが上がり時計のかかるタフな条件であれば、1600mでも好走できるかもしれない。パワーにベクトルが傾いている点から坂のあるコースの方が合い、ベストの条件は外回りコースで行われる阪神芝2400mや中京の2000mなど。また、海外のレースやダートも走るかもしれないが、道悪はあまりよくない可能性がある。

パワータイプであるが、全体のバランスに破たんがなく、完成度も高い。厩舎の先輩であるクロフネ、キングカメハメハ、タニノギムレットといった馬ほどのスケールはないが、ダービーで3着と好走したベルシャザールよりも全体のバランスはよく、ダービー時の完成度においても勝る。ただ、京都新聞杯の時点で体重が448キロという数字でその点を鑑みると、まだよくなる余地があるかもしれない。

京都新聞杯ではレース適性の面から本命に推した。その際にデビュー時はそれほど馬体のバランスがいまひとつであったが、馬体のバランスは改善されている可能性があるとお伝えした。ダービーではデビュー時よりも良化しており、その印象は間違っていなかったと感じる。

ただ、ダービー時は筋肉量は充分であったが、腰高でバランスがあまりよくなく、持て余している印象があった。今回春よりもすっきりした体型をしているが、春よりも頭が小さく感じ、首も細く映るが、身体がひとまわり大きくなったと考えられる。成長している可能性が高く、いい傾向となり、ここから筋肉がついてくればさらに上積みがある可能性も。

過去京都新聞杯から参戦してダービーで連対した馬4頭は全て京都新聞杯を2番人気以内で勝利しており、2位以内の上がりをつかっていた。

2013 キズナ 2.12.3  34.5 (上がり3ハロン1位)
2005 インティライミ 2.13.0 (やや重) 35.7 (上がり3ハロン2位)
2004 ハーツクライ 2.11.9 33.4 (上がり3ハロン1位)
2000 アグネスフライト 1.59.8 (2000m)  34.5 (上がり3ハロン1位)

また、菊花賞で2着にきた2002年の勝ち馬ファストタテヤマも上がり最速で勝利。距離が2200mに変更された後は、2分13秒0以下で走って連対した馬が9頭いるが、そのうち6頭がのちにG1レースで活躍している。2005年1着インティライミがダービー2着、2004年1着ハーツクライが有馬記念勝利、2004年2着スズカマンボが天皇賞(春)勝利、2002年ファストタテヤマが菊花賞2着とG1で好走している。

そして、2013年にキズナが2分12秒3という時計で勝利しているが、今年は2分11秒0と速い時計で上り2位の脚をつかってこの馬が勝利している。京都競馬場の馬場状態がいいため、レース時計に関しては鵜呑みにすることは出来ないが、2着に0秒2差をつける完勝劇をみせている。

ダービーはペースが落ち着いて脚を余した点、まだ本物ではなかった点が影響して凡走したが、京都新聞杯の内容や成長を感じさせる点から、今後G1で活躍する可能性は充分ある。今回条件は合い、出来はいいが、たたかれてよくなるロベルト系という血統や未勝利を勝ち上がるまでに5戦かかっている点などは気になるところ。くわえて、馬場状態がいいため、後方からレースをすれば脚を余すリスクもある。プラス材料とマイナス材料が混在し、取捨が難しい馬。好走の可能性はあるが軸は難しいという評価になる。

アドマイヤフライト
※ 札幌記念時の考察

父マンハッタンカフェ、母の父トニービン、母の母方いずれの特徴が出ているか定かでないが、胴長で骨格のしっかりした体型をしている。ある程度決め手もあるが、それほど瞬発力にベクトルが傾いた馬でない。脚質に柔軟性があり、先行するレースも可能であるが、馬場状態がいいレースやペースが落ち着いた場合は後方からのレースでは届かないというケースも出てくる。そのため、前でレースをする方が安定して結果を残すことが出来る。

コースはそれほど問わないが、どちらかというと広いコースの方がよく、距離は2000m以上がいいが、首の高さから3000mの適性は微妙も、展開や条件次第ではこなせるか。現在の京都の時計の速い馬場状態から、前でレースが出来る点、下り坂を利してスパート出来る点、広いコースである点から、阪神大賞典が行われる阪神の芝3000mや、ステイヤーズSが行われる中山の芝3600mなどよりは合うはず。

5走前に1600万条件を勝った際、上りの速いレースで先行しており、楽なレース内容であったが、休み明けでプラス18キロと体重が増えていたことを考えると上々の内容。4走前の日経新春杯では体重が2キロ減っただけでほぼ同じ水準であったが、太めがなく、増えていた数字は全て成長分と考えることが出来る。前でレースをする馬が強く、上りの速いレースとなった点からもサトノノブレスの逃げ残りを許す結果となったが、悪い内容ではない。

3走前の日経賞は中山の内回りコースが合わなかったことが敗因で、昨年より斤量が1キロ重かったこともあるが、能力的な上積みがありながら、昨年より着順を落としている点から中山が合わなかったことは間違いないよう。今回も小回りコースとなるが、コーナーの角度が大きく、トリッキーな中山よりも合うはず。

そして、何よりも父マンハッタンカフェ、母の父トニービンという血統であるが、過去サンデーサイレンス系と欧州血統の組み合わせが人気薄できており、それに符合する点も好材料。やや重心が低く、胴の長さとアンバランスであるが、能力的には重賞を複数勝てる能力がある。前走函館記念も休み明けながら、勝ち馬と0秒3差の4着と好走しており、たたかれた上積みが見込める点からも面白い馬。

メイショウカンパク
※ 2012年天皇賞(春)時の考察

丸みを帯びた身体のラインなどは父グラスワンダーというよりも父の父ロベルトの特徴が出ており、グラスワンダー産駒のアーネストリーなどと比較すると、パワーにベクトルが傾いていないタイプ。父の産駒としてはスラッとした体型で、後肢の飛節の角度などをみても決め手を生かすレースが合うが、以前よりもその特徴が強まっているように感じる。

過去のレースをみても何回か上がり最速をマークしており、京都大賞典を勝利しているが、決め手が要求されるレースで、適性が高かったことが勝因。父ほどのスピードの絶対値の高さやスケールの大きさはないが、全体のバランスは悪くない。以前より重賞を勝てるだけの能力はあるとお伝えしてきたが、能力的な裏付けもあり、今後も重賞を勝てるだけの資質はある。

胸囲にボリュームがあり、腹のラインなどは父方のロベルト系の特徴が出ているが、心肺機能が高い。コンパクトなつくりや腹のラインなどは2003年のこのレースや菊花賞を勝ったヒシミラクルとよく似ている。走りにごつさを感じさないため、それほど距離に壁があるという印象を受けず、決め手を生かせば距離延長にも対応可能と考えていたが、3000mも十分対応出来る。

走法などをみると、それほど器用さをかくタイプではないが、脚質的な面から小回りコースよりも今回のような広いコースの方が力を発揮できる点は京都大賞典でも述べたとおり。後肢のつくりをみると、飛節に角度がないため後方からのレースとなっているようだが、瞬発力のある差し馬ではなく、スタミナが要求されるような速い流れになった際に好走の可能性が増す。

今回はペースにくわえて、馬場状態が鍵となるが、時計の速い馬場であれば前でレースをする馬有利となり、時計のかかる馬場で浮上してくる。あるいはペースが極端に上り、ガチンコのスタミナ勝負となれば好走の可能性が増す。
皮膚に透明感があって状態はピークと見ていい。確実に力を出せる出来にあり、消耗戦となれば追い込んでくる可能性は高い。

ヒシミラクルなどもそういった馬であったが、心肺機能が高い馬はレースをつかわれてよくなり、この馬も過去の戦績をみると鉄砲はあまり利かない。前走日経賞は2ヵ月ぶりのレースが敗因で、前々走日経新春杯もプラス20キロと体重が増えており、その点が敗因とみていい。2けた人気が予想されるが、レースをつかわれた上積みはかなり大きいと考えられ、距離延長もプラスになりえるため、印をまわしておきたい1頭。

○ 2014年日経新春杯 馬体診断考察

アドマイヤフライト

父マンハッタンカフェ、母の父トニービン、母の母方いずれの特徴が出ているか定かでないが、胴長で骨格のしっかりした体型をしている。ある程度決め手もあるが、それほど瞬発力にベクトルが傾いた馬でない。脚質に柔軟性があり、先行するレースも可能であるが、馬場状態がいいレースやペースが落ち着いた場合は後方からのレースでは届かないというケースも出てくる。そのため、前でレースをする方が安定して結果を残すことが出来る。

距離は2000m以上がいいが、首の高さから3000mの適性は微妙。ただ、展開や条件次第ではこなせるか。コースもそれほど問わないが、どちらかというと広いコースの方がいい。今回、条件はベストに近く、ペースが落ち着きそうであるが、前でレースが出来る点も好材料。

やや重心が低く、胴の長さとアンバランスであるが、能力的には重賞を複数勝てる能力がある。状態に関しても馬体にメリハリがあり、筋肉の付き方なども申し分なく、確実に力を出せる状態にあり、勢いを感じさせる。前走は上りの速いレースで先行しており、楽なレース内容であったが、休み明けでプラス18キロと体重が増えていたことを考えると上々の内容。たたかれた上積みも見込め、人気は予想されるが評価が必要な馬。

ラウンドワールド

手脚や胴の長い体型は父ディープインパクト譲りであるが、上半身のカチっとしたつくりなどをみると、トニービンの特徴が出ている。半兄ドリームパスポートによく似てきた。ゆったりしたフットワークからも距離延長でいい馬で、本質的に2400m位がベストの距離となり、長距離も対応可能で、広いコースの方が合う。平坦コースの方がいい馬で、今回条件としてベストであるが、後方からレースをする点がネックになりえる。

2歳時の時点では完成度が低かったが、小柄な体型ながらスケールの大きさを感じさせた。完成度が低い状況でオープンでも結果を残している点に素質の高さを感じさせる。2歳時にコスモス賞を勝利しているが、過去コスモス賞を勝利した馬で、その後もオープンで活躍した馬は2006年ナムラマース、2005年ディープエアー、2003年ヤマニンシュクル年、2001年マチカネアカツキ、1999年チアズグレイスなど、いずれも上がり最速の脚をつかっており、この馬もそれに該当する。

共同通信杯時にラジオNIKKEI杯2歳Sは後方からのレースで馬体に余裕があったとしても、不甲斐なさすぎる結果であり、スランプや精神面に問題がある可能性がある点が怖いとお伝えしたが、3歳春に全休したのは、完成度が低く成長を促す効果が見込めることからもいい判断であった。

前走の敗因が不透明であるが、今回馬体の余裕もなく皮膚の薄さを感じさせ、状態は良好。斤量も55キロであれば問題なく、後方からレースをする点から軸は避けるべきであるが評価が必要。

クラウンレガーロ

父グラスワンダーは骨格が発達したパワータイプの産駒が多く、エンドスウィープ産駒はボリュームがある馬が多い。手脚や胴の長さ、上半身の傾斜などをみると、母方のパドスールの特徴が出ているものと思われる。広いコースの方がいい馬で、2歳時は1600m1800m辺りが合うと感じたが、以前よりも上半身の窮屈な部分が改善されており、以前よりも距離延長に対応可能。ペース次第ではこの距離も克服してもおかしくない。

3歳の時点では全体的にまだ筋肉がつき切っておらず、完成度が著しく低く、全体のフォルムから先行するレースが合うが、スピードの絶対値で劣っていた。ただ、前走ディセンバーSでプラス6キロ、前々走オーロカップでプラス18キロと体重が増えていながら、両レースとも勝ち馬と0秒2差と善戦している。とりわけ前走ではペースが落ち着き、後手を踏んで持ち味が生きない状況で悪くないレースをしており、春からの成長を伺わせる。

後肢も直飛で差し馬のようなつくりになっており、齟齬がある点から素質の部分で劣るが、今回は53キロで出走可能。前でレースをするハンデが軽い馬が人気薄でくるレースで、逃げ先行馬が止まらない馬場状態がいい状況であればより面白い。

サトノノブレス

手脚や胴の長さ、上半身に体高があり後肢の薄い体型をみると父ディープインパクトの特徴が出ている。広いコースの方がよく、距離は2000mから2400m辺りがベスト。前走菊花賞は条件としては悪くなかったが、距離が微妙に長かった。出走馬のレベルが低いレースで、馬場状態がよければバンデがそのまま残っていたと思われ、道悪の適性もプラスに作用した。

腰のてっぺんから尻尾にかけての部分が急激に垂れ下がる斜尻で、持っているものは悪くない。ただ、上半身と下半身の角度が異なる点は、馬体の面において弱点で改善されていない。バランスがそれほどよくなく、能力的にマイナスの要因で、ここからよくなってくる可能性はある。

昨年の秋の時点では筋肉がつき切っておらず完成度はあまり高くなく、平均よりも晩成タイプのよう。今回ボリュームが増しており、筋肉量が増えたかもしれないが、全体的に余裕を感じさせる。休み明けで結果を残しており、鉄砲は利くが、今回は割り引いて考える必要がある。

ラブイズブーシェ

手脚が長く薄手な体型をみると、父系の特徴が出ている。背中のラインや全体のバランスはまずまず。広いコースの方がいい馬で、距離は2000m以上が合い、3000mも対応可能。今回は条件はベストに近い。

前走有馬記念で4着に好走しているが、決め手が生きる流れとなった点、そして蹄の形をみると時計のかかる馬場の方がよさそうで、前日の降雨も追い風となった。くわえて、上位の馬を除けばレベルが低かったことも事実。

現時点では筋肉がつき切っておらず、状態に関しても皮膚の質感がよくなく、まずまずといった感じ。後方からレースをする点や56キロを背負う点から人気であれば嫌いたい。

フーラブライド

牝馬らしからぬ骨格や蹄の形、父ゴールドアリュールという血統からダートでもかなり走るのではないかと考えたが、戦績をみるとやはりダートをつかわれている。手脚や胴の長さは父系の特徴が出ており、広いコースの方がよく、坂のあるコースの方が合う。距離は1800mから2400mまで対応可能で、前走愛知杯はベストの条件でもあった。

ある程度決め手も兼ね備えているが、腹のラインから先行した方がいい。今回も条件は合うが、毛ヅヤがひと息で状態は芳しくない。ただ、顔が大きいため首さしが短めのように感じるが、それ以外を除けば馬体のバランスは良好で、50キロの恵量もあり前走の愛知杯を勝っているがフロックではない。今後も重賞レースで活躍できる素材で、52キロで出走できる点からも侮ることが出来ず、取捨の難しい馬。

カワキタフウジン

坂のある中京や阪神で結果を残しているが、骨格が発達しており、父マーベラスサンデーという血統からもパワーを有している。実績から直線が長いコースの方が合うと考えていたが、今回初めて馬体写真をみても股下の高さから広いコースの方が合うということが分かる。

1600万条件を勝利した際、時計の面などからそれほどの内容のあるレースではなかったが、前走朝日チャレンジカップや同じ条件で行われていた鳴尾記念できた人気薄の馬をみると、坂のある直線が長いコースで実績のある馬がきており、穴馬に推奨した。

今回馬体をみると、張りがあって申し分ない出来にある。能力的にも馬体をみる限り条件が合うレースであれば今後重賞で活躍できるが、平坦コースの今回は後方からレースをする点から割り引いて考える必要がある。55キロでの出走となるが、ラウンドワールドと同じ斤量、アドマイヤフライトと1キロ差は厳しい。

テイエムイナズマ
※ 菊花賞時の考察

手脚や胴がやや長めで胸囲に深さがある点などは父ブラックタイドの特徴が出ている。昨年デイリー杯2歳Sを勝った際、前半800m47秒9、後半800m46秒8とかなりペースが遅く、前残りのレースとなっており、逃げ残った形であるが、展開の恩恵を受けていた。その後、結果を残すことが出来ていないが、雄大な体型をしており、持っている素質はかなり高い。

春はまだ全体的な筋肉の量が乏しく、よくなる余地を残していたが、前走神戸新聞杯では上半身、下半身ともにボリュームが増しており、成長を感じさせた。今回は前走時から馬体にメリハリが出ており、状態は上向いている。能力的な上積みがある点は評価が必要なポイント。

それほど偏った体型をしていないため、脚質には柔軟性があるように見受けられるが、上半身のボリュームや首の高さ、重心が高めのフットワークから先行した方がいい。よりスピードの絶対値が高まっている点から、中距離であれば速いペースにも対応できるはず。ただ、この距離であればある程度ペースが落ち着き、3コーナー過ぎたあたりから仕掛けるというレースの方がいい。

坂のあるコースはあまりよくなかったが、現状であれば対応出来そう。手脚や胴の長さから広いコースの方がいい馬で、前の馬が止まらない時計の速い馬場の方がよく、昨年のデイリー杯2歳Sも馬場の恩恵が大きかった。その点で現在の京都競馬場の馬場状態は追い風になりえる。

体型や走法をみる限り1600mから2400m辺りが守備範囲。以前は首の高さがあり、効率のいい走り方が出来ていなかったが、前走や今週の調教VTRをみると、以前よりも身体の使い方はよくなっており、馬場状態がよければ今回の距離もこなすことは十分可能。展開的な面や潜在的なスタミナが要求される点から降雨はマイナス材料となるが、蹄の形をみる限り道悪自体は走るはず。

朝日杯FSは毛ヅヤなど出来がいまひとつで、ダービー時は朝日杯FS時よりも毛ヅヤが格段によかった。トリッキーな中山内回りコースは合わないが、皐月賞で勝ち馬と0秒7差の6着であれば悪い内容ではなく、毎日杯でも4着という結果。そして10月のデイリー杯2歳S を勝っている。馬体や戦績などをみるに寒い時期はあまりよくないタイプの可能性がある。

今年は気温の高さが続いたため問題なさそうで、皮膚の質感なども申し分ない。持っている資質が高い点や春からの成長、前走からの上昇、そして京都外回りコースの適性から評価が必要な馬。

ロードオブザリング
※ 2013年日経新春杯時の考察

皮膚の薄さは特筆すべき長所でその点は母の父サンデーサイレンスの特徴が出ている。胴の長さに対して手脚はやや短めも全体のバランスも母方の影響が強いようで、能力的には間違いなく重賞を勝てるだけのものを持っており、複数勝てるだけの素材。

やや重心が低めでその点から小回りコースにも対応しており、全体の幅や骨のパーツなどをみると坂のあるコースも問題なく、どちらかと言うと瞬発力よりもパワーが要求されるレースの方が合う。つなぎがやや短めで距離は2000mがベストといった感じで、距離に関しては微妙な部分があるが、決め手を生かすレースをすれば誤魔化すことも可能。

同じ父と母の父の組み合わせにマイル重賞を3勝しているシルポートがいるが、シルポートの方がより心配機能が高くスピードの持続力やパワーにベクトルが傾いており、この馬は偏りのないタイプで、距離やコースに柔軟性がある。全体のつくりやバランスはシルポートよりも上のものを持っていると感じ、重賞レースを複数勝てる素材。父ホワイトマズルは80年代を代表する欧州最強馬ダンシングブレーヴの産駒であり、その血統からも時計のかかる馬場は問題ないはずで、洋芝や道悪もこなしそう。過去の戦績をみると、レースをつかわれた方がいいタイプのよう。

○ 2013年日経新春杯 馬体診断考察

トウカイパラダイス

「薄手で手脚や胴の長い体型は父系のサンデーサイレンスの特徴が強く出ており、瞬発力にベクトルが傾いたタイプ。

父がゴールドアリュールで、母方にマルゼンスキーが入っているためニジンスキーのクロスがある点など、血統的な面で、2010年のこのレースで2着と好走しているトップカミングと似ており、馬体にも共通する部分が多い。

東京や京都・阪神外回りコースなど直線が長く広いコースが向く中長距離馬で、今回条件は合う。

馬体のバランスは悪くなく、この夏は短期間で急激な成長をみせており、能力的な上積みを感じさせるが、重賞を勝てるだけのものを持っている。

前々走アルゼンチン共和国杯は約2ヶ月振りの休み明けのレースであったが、マイナス18キロが堪えたよう。

前走金鯱賞で4着という結果で復調が伺え、前半1000m61秒6とペースは落ち着いていたが、そこから11秒台のラップを刻む、なかなか厳しいペースとなった。

12.9 - 11.1 - 13.0 - 12.7 - 11.9 - 11.8 - 11.8 - 11.7 - 11.5 - 12.0

上位の馬の中で最も前目の位置でレースをしていたが、有馬記念で2着と好走した勝ち馬オーシャンブルーと0秒2差という結果であれば、上位とそん色ない評価が必要。

そこから距離が延びる点は好材料で、状態はそこまで強調できる部分はないが、すっきりと仕上がっており、夏場の状態と結果を考えると、こういった状態の方が走る馬である可能性もある。

能力と適性面から評価が必要な1頭で、割り引く材料が少ない点から重い印を打ちたい。」

オールザットジャズ

「上半身のボリュームが発達した点や、丸みを帯びた身体のラインや胴の短さは父タニノギムレットに似ており、その特徴が出ている。

父はより筋肉のつき方にメリハリがありバランスもよく、父よりも劣るがこの馬も背中のラインなども悪くなく、筋肉のつき方も充分。

同じタニノギムレット産駒のウオッカと共通する部分もあるが、ウオッカの方が胴は長く、肩の角度も寝ており、より長めの距離に適性があった。

また、ミッドサマーフェアなどよりボリュームが発達しており、パワーも兼ね備えているがスピードタイプの体型となっていた。

2200mのレースを勝ってはいるものの、2000mまでの方が力を発揮出来と考えていたが、以前よりもスラッとした体形をしている。

股下の高さや後肢の関節部分である飛節の角度がない点から決め手で勝負をするタイプで、その点からも距離延長に対応出来そう。

父の産駒は器用さを欠く馬が多く、ウオッカなども東京コースと阪神外回りコースでしか結果を残していないが、この馬は中山内回りコースで行われた中山牝馬Sや福島牝馬Sで結果を残しており、叩きつけるようなフットワークをしている点から、小回りコースにはそれほど神経質にならなくてもいいかもしれない。

その中山牝馬Sでは、ハンデ戦で行われて53キロで出走出来た点や、レースをつかわれている点などアドヴァンテージがあったため穴馬に推して2着と好走。

福島牝馬Sは調教の動きが最もよかったため本命に推し、破った相手がコスモネモシンやアカンサスなど、それほどレベルは高くないメンバーであったが0秒2差をつける完勝。

全体のボリュームや頑健なつくりをしている点からペースが上がった方がいい馬のようで、福島牝馬Sの前半600mと後半600mの時計をみると、34.0-35.5という数値で速い流れ。

中山牝馬Sも36.1-36.3とまずまずペースが流れていたが、ヴィクトリアマイルは34.4-34.2と上がりが速いレースとなっており、7枠14番と外目の枠に入ったことも堪えた。

ヴィクトリアマイル時は毛ヅヤが良好で、皮膚の質感からも体調のよさが伝わり勢いを物語っていたが、クイーンSでは全体的に皮膚な質感などがよくなく、状態が落ちていた。

エリザベス女王杯なども悪い出来ではなかったが、今回はその時よりも引き締まっており、皮膚の質感もよく上昇している。

戦績を確認すると、暑い時期はあまりよくない馬のようで、12月から4月の間に良績が集中しており、そういった部分が、現在の状態に表れていると思われる。

問題は斤量で、55キロを背負うが、牡馬であれば57キロという評価になり、2010年にメイショウベルーガが54キロで勝利しているが微妙なところ。

ただ、人気が割れている点や、状態面から評価が必要で、アタマまである。」

メイショウウズシオ

「上半身を中心としたボリュームは父オペラハウスの影響を強く感じさせ、腹のラインなどからかなり心肺機能も高そう。

同じオペラハウス産駒のメイショウサムソンにもよく似ている。

初めてみたときから、開花すればG1レベルでも好走出来るレベルの馬と感じていたが、馬体のバランスや全体の迫力から元来もっている能力は高い。

つなぎの長さから広いコースの方がよく、その点からも距離が延びていいタイプであると感じていたが、2歳時にみた際は肩に窮屈な部分があった。

その点が解消されてくればもっと走る可能性が高いとお伝えしていたが、それほど変わった感じはない。

また、蹄の形や全体の骨格や血統的な面から時計がかかる馬場の方がいい馬で、つなぎの角度が寝ている馬は通常道悪はよくないが、結果を残している。

開催末期や洋芝、海外のレースは走りそうで、日本で大成できないタイプかもしれない。

中山や阪神も問題ないが、外回りコースの方がよさそうで、距離は2400m以上でも問題ない。

状態はそれほど強調できる部分はない。

ただ、馬場状態がよく、ペースが落ち着けば展開の恩恵を受ける可能性があり、現在8番人気と評価も低いため狙ってみたい1頭。」

ダコール

「父ディープインパクトという血統であるが、骨太で容量のある体型をみると、母の父アンブライドルドの特徴が出ている。

勝っているのは全て平坦コースであるが、パワーも兼ね備えており坂のあるコースは問題なく、手脚や胴の長さから中山であれば外回りコースの方がいい。

距離も1800mから2400m辺りが守備範囲となる。

腰のつくりをみるとキレもある馬で、後肢のつくりをみると飛節の角度がないため、後方からのレースが合う。

ベストは直線の長い外回りコースで行われる阪神芝1800mや阪神芝2400mなどで、今回も条件は比較的合う。

また、小倉や京都内回りコースで結果を残しており、前走福島記念は小回りコースで強い馬が結果を残すレースであるが、そういったコースにも対応は可能なよう。

即座に重賞レベルと断言できるほどの素質は感じないが、全体のバランスは悪くない。

3走前の1600万条件の釜山Sでは2着の馬に0秒3差をつけて快勝しているが、それにくわえて2位の馬よりも0秒7速い34秒1という最速の上がりをマークしており、そこでのレース内容をみる限り、重賞レースでも好走な水準で走っている。

ただ、オールカマーではまずまずの状態といった感じであったが、今回は全体的に迫力を欠く印象がある。」

ムスカテール

「首さしの太さをみると、父マヤノトップガンの特徴が出ている。

父は天皇賞(春)や菊花賞を勝ったステイヤーであったが、産駒は中距離や短距離で活躍する馬が多く、この馬も胴や首がやや短めで、全体のボリュームからもそこまで距離延長がいい馬ではなく、2000mから2400m辺りが守備範囲となる。

コースはそれほど問わない馬で坂のあるコースも問題ないが、やや股下が高い点やつなぎの角度などから、広いコースの方がよさそうで、距離とともに今回の条件は合う。

脚質も選ぶタイプではないが、全体のボリュームや後肢の飛節に角度があり、どちらかというと先行した方がいい馬で、馬場状態やペースを考えると、先行出来る点は好材料。

今回は馬体写真がないため、状態などを確認することが出来ない。

アルゼンチン共和国杯時はもう少し絞れている方がよかったが、体調自体は申し分なかったため評価した。

前走はペースが落ち着いたことも影響してルルーシュに敗れたが、もう少し流れていればもっと際どかった。

今回はその時以来のレースとなるが、過去の戦績を見るとたたかれてから結果を残しており、休み明けが微妙。

父系の特徴が出ているが、ロベルト系の馬はレースをつかわれてよくなる馬が多い。

取捨が難しい部分があるが、その点から軸などは避ける必要がある。」

ロードオブザリング

「皮膚の薄さは特筆すべき長所でその点は母の父サンデーサイレンスの特徴が出ている。

胴の長さに対して手脚はやや短めも全体のバランスも母方の影響が強いようで、能力的には間違いなく重賞を勝てるだけのものを持っており、複数勝てるだけの素材。

やや重心が低めでその点から小回りコースにも対応しており、全体の幅や骨のパーツなどをみると坂のあるコースも問題なく、どちらかと言うと瞬発力よりもパワーが要求されるレースの方が合う。

つなぎがやや短めで距離は2000mがベストといった感じで、距離に関しては微妙な部分があるが、決め手を生かすレースをすれば誤魔化すことも可能。

同じ父と母の父の組み合わせにマイル重賞を3勝しているシルポートがいるが、シルポートの方がより心配機能が高くスピードの持続力やパワーにベクトルが傾いており、この馬は偏りのないタイプで、距離やコースに柔軟性がある。

全体のつくりやバランスはシルポートよりも上のものを持っていると感じ、重賞レースを複数勝てる素材。

父ホワイトマズルは80年代を代表する欧州最強馬ダンシングブレーヴの産駒であり、その血統からも時計のかかる馬場は問題ないはずで、洋芝や道悪もこなしそう。

過去の戦績をみると、レースをつかわれた方がいいタイプのよう。

前々走アンドロメダSは約4か月ぶりのレースで、前走金鯱賞とつかわれ、状態を上げている可能性がある。

距離や後方からのレースは微妙も、能力は高いため、侮ることが出来ない。」

メイショウカンパク

「丸みを帯びた身体のラインなどは父グラスワンダーというよりも父の父ロベルトの特徴が出ており、グラスワンダー産駒のアーネストリーなどと比較すると、パワーにベクトルが傾いていないタイプ。

父の産駒としてはスラッとした体型で、後肢の飛節の角度などをみても決め手を生かすレースが合う。

以前よりもその特徴が強まっているように感じる。

京都大賞典を勝利しているが、決め手が要求されるレースで、過去のレースをみても何回か上がり最速をマークしており、適性が高かったことが勝因。

父ほどのスピードの絶対値の高さやスケールの大きさはないが、全体のバランスは悪くなく、重賞を勝てるだけの能力はあるとお伝えしてきた。

距離的には2000m近辺が合うが、走りにごつさを感じさないため、それほど距離に壁があるという印象を受けず、決め手を生かせば距離延長にも対応可能。

走法などをみると、それほど器用さをかくタイプではないが、脚質的な面から小回りコースよりも今回のような広いコースの方が力を発揮できる点は京都大賞典でも述べたとおり。

オールカマーは馬場悪化時では逃げ先行馬が強く、新潟記念も極端なスローペースで推移しており、ともに前残りで脚を余していた。

そういった点や、人気上位の馬に休み明けや能力的な減退の可能性がある馬もいる点、レースをつかわれてよくなるロベルト系の馬であるが、たたき3走目で状態の上昇も見込まれ、京都大賞典で狙ってみた。

このレースと同じ条件の京都大賞典を勝利している点からも条件は合うが、今回はトップハンデの57.5キロを背負い、後方からレースをする点を考えると評価することが難しい。」

○ 2012年日経新春杯 馬体診断考察

トゥザグローリー

「母はエリザベス女王杯を勝ちドバイWCでも2着にきたトゥヴィクトリーという良血。

デビュー前の体型をみると胴長でスラッとした馬体をしており、父サンデーサイレンスの影響が強い馬であったが、3歳秋になってから、全体的に頑健なつくりとなり父系キングマンボの影響が強くなってきたよう。

3歳秋の辺りから全体のボリュームが増してきて、同じキングカメハメハ産駒であるルーラーシップと同様に3歳秋を迎えて本格化へと近づき、軌道に乗ってきた。

今年の年明けの時点では、陣営がまだ完成に遠いとコメントを残していた、前々走ジャパンカップでは日経賞などと比べるとボリュームが増して実が入っており、順調な成長を感じさせて完成も近いと感じた。

距離は2000mから2400m近辺がベストで、ややゆったりしたフットワークやフォームやつなぎのつくりなどをみると、どちらかと言えば外回りコースの方が力を発揮出来る。

首さしが太く骨格やボリュームが発達してかなりパワー型にベクトルが傾いており、阪神では5戦3勝という結果で、坂のあるコースの方が断然向く馬で、ダートもかなり走る可能性がある。

東京から中山へコースが変わったことは大きなプラス材料で、コースの適性の点から出走馬の中で最も妙味があると判断して穴馬に推した

また、状態面に関しても前走時は馬体写真がなかったが、前々走のジャパンカップでは休み明けをつかわれてメリハリが出てきており、後肢の部分にも筋がくっきりと浮かんで筋肉のつき方は上々であった。

寒くなってきて調子を上げてくるタイプのようで、宝塚記念なども適性が合うレースであったが、夏場は駄目なタイプのようで、皮膚の質感などは悪くなかったものの、筋肉量が落ちて状態が下降していた。

鍛錬によって能力の底上げをはかっているタイプの馬で、ボリュームがあるかどうかが、ひとつのバローメーターとなり、宝塚記念はすっきりしすぎたつくりで、その点が能力的に大きなマイナスであった。

今回は皮膚の質感もまずまずで、先述したボリュームの点も問題なく馬体に張りはあるが、ジャパンカップ時の方が馬体にメリハリを感じさせ良くも悪くもないという印象。

[重賞データ]でお伝えしたとおり、ハンデ戦で行われ重い斤量の馬は不振のレースであるが、58.5キロを背負い、その点が最大の焦点となる。

近年では、2011年ローズキングダム(1番人気3着…58キロ)、2010年サンライズマックス(3番人気4着…57.5キロ)、2009年アドマイヤモナーク(2番人気5着…57キロ)、2008年アドマイヤジュピタ(1番人気4着 57キロ)といった馬が人気を裏切っているが、このうち3頭はG1レースでも結果を残している。

上記した馬と比較しても重賞3勝とそん色ない実績をもっているが、やはり58.5キロは割引が必要で、重い斤量を背負う場合は先行してペースが落ち着いた場合を除いて信頼度が下がる。

後手を踏んだ場合は追い上げて届かずというレースになりやすく、前々走までの位置取りなどをみてもその点が大きな懸念材料。

圧倒的な人気を集めるであろうが、状態や斤量、そして平坦コースに変わることはマイナス材料で、取りこぼす可能性があり、買うとしても単勝や1着の馬券などは避けた方がいい。」

ナムラクレセント

「ややコンパクトにまとまった体型などをみると、かつて天皇賞(春)や菊花賞を勝ったヒシミラクルと共通点があり、上半身や腹のラインをみると距離延長に対応出来るタイプ。

心肺機能が強くつなぎの長さや後肢のつくりなどをみると、本質的に逃げる競馬が合う。

以前馬体をみた際は胸前にかなり窮屈な部分があったが、その点が解消されてきており、肩の角度と腰の角度に相違がある点も能力的にマイナスであったが良化している。

気性的な成長もあるかもしれないが、馬体面での変化が昨年春の結果に結びついており、天皇賞(春)では出遅れが響きながらも挽回して3着というレースであったが内容は上々。

天皇賞(春)は馬場状態が悪い場合は後方からレースをする馬に有利なレースであるが、あの内容を考えるとスタートと馬場がまともであれば、この馬が勝っていた可能性が高い。

父ヤマニンセラフィム、母の父サクラショウリという地味から人気になりづらい馬であるが、隠れた実力馬といえる。

前走アルゼンチン共和国杯など、宝塚記念時とは出来に雲泥の差があったが、スタミナを身上とし休み明けでは息遣いが本物ではなかったと思われ、レースをつかわれた上積みが見込める。

馬体に張りがあって毛ヅヤも状態はほぼ最高潮に近い。

重賞レースをひとつしか勝っていないにも関わらず、重賞3勝のトゥザグローリーとほとんど変わらない58キロという斤量は微妙であるが、過去の傾向からペースが上がらなければ克服する可能性が増す。

ペースが落ち着きやすい少頭数で行われる点は大きな追い風になりえる。」

ダノンバラード

「3歳春の時点で首の高さやフォルムなどをみると距離延長には微妙な部分があったが、前走中日新聞杯のレース振りをみても、やはり首が若干高い印象。

その点から、距離には限界があり、2000m近辺がベスト。

腰のつくりなどをみるとキレを感じさせるが、そこまで瞬発力に特化したタイプではなく、ある程度前目の位置につけてキレ味を生かすという競馬が合う。

小回りコースなどでペースが落ち着いたレースを先行して瞬発力勝負に持ちこむというレースが理想か。

皐月賞では共同通信杯以来のレースであったが、太めもなく調教の内容も良好であったため穴馬に推した。

8番人気ながら3着と好走したが、前半800m48秒3とG1レースながらもペースが落ち着き、そこで先行して決め手を生かすことが出来た点が好走の要因。

手脚や胴の長さなどは、サクラセンチュリー、マーブルチーフ、スウィフトカレントなど過去このレースできている馬と符合する部分でボリュームもまずまずある。

今回も太めはなく毛ヅヤなどに体調のよさを感じさせ、力を出せる状態にあり、斤量も56キロとそれほど背負っておらず、ペースが落ち着けば展開の恩恵を受ける可能性がある。」

スマートロビン

「父ディープインパクトはマルセリーナ、リアルインパクト、ジョワドヴィーヴルなどのマイルG1馬を出しているが、この馬は明らかに毛色が異なり、瞬発力よりもスピードやスタミナなど総合力で勝負するタイプ。

松田国厩舎は独特のノウハウを持っており、ダイワスカーレットやダノンシャンティなど、管理馬は非常にボリュームがしっかりした馬が多く、非常に高次元のスピードをもっている馬が多い。

この馬はそれほどボリュームがないタイプで、腹のライン、つなぎの長さと角度、そして肩の分が滑らかなつくりになっている点などをみると、2400mあるいはそれ以上の距離が合う。

京都外回りコースは力を出せる舞台で、腰のてっぺんの部分から尻尾の付け根にかけての角度が急激に垂れ下がっており、手脚の長さからもある程度の決め手を有しているため、直線の長いコースも問題ない。

ただ、瞬発力勝負は合わず、直線の長いコースでペースが落ち着くと瞬発力が要求され、神戸新聞杯は極端に遅い流れとなったことが敗因。

また、体型や蹄の形から道悪は合いそうで、キレ味で劣る部分を補う意味でも降雨があれば評価を挙げる必要がある。

スケールの大きい馬体をしており、背中のラインをみても能力は高く、3歳秋の時点では上半身を中心にまだ筋肉がつき切っていなかった。

今回もそれほど成長は感じられないが、神戸新聞杯時にいずれはG1でも好走可能とお伝えし、菊花賞へ出走していれば好走の可能性が高かった。

その後、1600万条件の比叡Sを勝っており、今回はそれ以来のレースとなるが、休み明けながら太めは感じられず、皮膚の質感も申し分ない。

上半身を中心に神戸新聞杯時の張りはなく、逃げ馬で心肺機能の面が重視されるため、他の馬と比べて休み明けはマイナスとなるが、阿寒湖特別を完勝しているように休み明けのレースでも実績がある。

それ以前のレースを振り返ると、2歳暮れに出世レースであるエリカ賞(500万条件)を勝利しており、過去のエリカ賞のレース時計をみると、2分3秒台で決着することが多いが、2分5秒2と遅い時計で、上がりの時計を他の出走馬と比較してもさして目立たない。

ただ、過去エリカ賞で0秒2の差をつけて勝っていた馬にサクラメガワンダー、アドマイヤグルーヴ、クロフネなどの名馬がおり、2009年の勝ち馬エイシンフラッシュは2着と同タイムであったが、3着に0秒5の差をつけていた。

この馬も2着に0秒2の差をつけている点からある程度の評価が必要となり、馬体写真がなかったものの春は期待してみていた1頭。

それ以後のレースをみると、京成杯(芝2000m)はともかく、アーリントンC(1600m)や毎日杯(1800m)は距離が忙しかった事が敗因と思われる。

過去の日経新春杯を振り返ると、斤量が重い馬が人気で消えており、斤量が軽い逃げ先行馬に有利な条件で55キロは好材料。

レースの適性自体も高く、調教でも動いており、評価が必要となるが、問題は休み明けだけ。」

リベルタス

「薄手な体型で手脚や胴が長い点は父ディープインパクトの特徴が出ており、つなぎにも柔軟性を感じさせ瞬発力タイプの馬。

東京や京都外回りコースなど直線の長いコースが合い、2000m以上の距離でよく、体型や跳びが大きい走法から、前走ディセンバーSは中山の内回りコースが合わなかったことが敗因。

10着という結果に終わっているが、休み明けということもあり、結果を完全に参考外として扱ってもいい。

馬体のバランスはなかなか良好で、つなぎにも柔軟性を感じさせて非常に高いものがあり、G1を勝てるだけの素質をもっているが、3歳春の時点では上半身を中心に物足りなさがあり晩成傾向を感じさせた。

3歳秋あるいは古馬になってからかなりの活躍する可能性を秘めているとお伝えしたが、ここにきて全体のボリュームが増しており、能力的な上積みを感じさせる。

長期休養明けをたたかれて太め残りが感じられず、上半身に張りがあって尻尾の付け根から尻に欠けて筋が浮き出ており状態も申し分ない。

フットワークをみると、坂路はあまり合わないタイプかもしれないが、調教で動いている。

3歳春の若駒Sは京都の馬場状態がよかったこともあるが2分1秒7という好時計で勝利しており、過去2分2秒5台前半より速い時計で勝っていたのは2010年ヒルノダムール、2009年アンライバルド、2005年ディープインパクト、2003年リンカーンといった名馬でいずれもG1連対があった。

レース時計にくわえてそこで降したユニバーサルバンクが共同通信杯で2着にきている点からもレベルが高く、完成度が低い段階で結果を残している点は特筆するべきものがある。

今回の条件はほぼベストに近く、55キロという斤量も能力を考えるとプラス材料で、人気を考えると買う価値のある馬。

過去のレースをみても、斤量が軽い馬が前目の位置で競馬をして人気薄で走っており、3歳春の時のように先行するレースが出来れば一発の可能性がある。

3歳時はノド鳴りの影響もあったようで、それが完治しているかという部分は大きな懸念材料であるが、狙ってみたい1頭。」

ビートブラック

「上半身のボリュームが発達しており心肺機能は高く、骨格などをみても持続力にベクトルが傾いた馬で、ある程度速いペースで先行した方がいいタイプ。

過去の馬との比較ではデルタブルースにタイプが似ている印象で、より潜在的なスタミナが要求される時計のかかる馬場の方が力を発揮でき、パワータイプに出ているため坂のあるコースも苦にしないはず。

距離は2400m以上がよく、股下の高さから広いコースの方が力を発揮出来、坂のあるコースの方が合うもののこの条件は向く。

京都大賞典は潜在的なスタミナよりも決め手が要求されるレースでこの馬には合わない条件であったが、そこで2着と好走。

持続力タイプに出ている馬で先行する競馬の方が合うが、前々走のアルゼンチン共和国杯は後手を踏んで持ち味が生きなかったことが敗因。

後肢の飛節がまっすぐ落ちており、くの字に曲がった角度のあるタイプであれば、よりスムースに先行出来てエネルギーをロスしないのではないかと感じる。

その部分に齟齬が生じている点は能力的にはマイナスとなり、G1レベルでは展開や馬場状態など何らかの外的な要因に恵まれないと好走は難しい。

体型や蹄の形から時計のかかかる道悪は合うと判断したが、前走のレース内容をみると、馬場の悪化が堪えたようで、結果には目つむりたい。

57キロという斤量には微妙な部分があるが、近走の敗因が明確で、人気馬はさらに斤量が重いため押さえることを検討したい。」

スマートギア

「股下の高さや、下半身のつくりをみると腰の角度などはいわゆる斜尻で、しまいのキレで勝負するタイプで、ペースに左右されてしまう部分はあるが、決め手が要求されるレースで強い馬。

骨格をみるとパワーも有しており、キレとパワーを兼ね備えたあまりいないタイプの馬であるが、ベストは坂のある阪神外回りコースなどで、距離は1800mから2400m辺りが守備範囲。

骨格やボリュームなどをみると、距離適性や得意な条件は若干異なるものの、かつて有馬記念を勝ったシルクジャスティスと共通点がある。

前肢をかきこむような走法のため調教で見栄えがするが、調教で動いていた時は結果を残すケースが多く、今回の内容は良好。

前々走カシオペアSで休み明けのレースをたたかれ、前走鳴尾記念へ出走してきたが、勝ち馬から0秒6差の9着という結果。

内枠が不利な条件でその点の影響も考えられ、悪いレースではなく、56キロという斤量は妥当。

今回逃げ先行タイプが多く、ペースが上がれば好走の可能性は増す。

ただ、馬体をみると毛ヅヤにくすみを感じさせ、元々の体型もあるが腹のラインにも緩さがあって万全の状態ではないため、評価を割り引く必要がある。

調教で動いていたため押さえることを検討するが、買うとしても押さえまでとしたい。」

マゼラン

「胴が短めで丸みを帯びた身体のラインからも一見するとマイラーのようにみえるが、腹のラインや上半身のつくりからかなり心肺機能が強いタイプのよう。

エアジパングなどもそういったタイプであったが、長距離で実績を残しているのはそういった点が影響しているためと思われる。

父クロフネも心臓が強い馬であったと耳にしたことがあるが、武蔵野SやJCダートではかなりとばすレースをしており、そういったレースの方が持ち味も生きたものと思われる。

この馬も心肺機能の点や後肢のつくりからある程度速いペースで先行した方がよく、コースはさして問わないタイプのようだが、幾分パワータイプに出ているようで坂のあるコースの方が向く。

近走で結果を残すことが出来ていないが、後方からレースをして持ち味を発揮出来ていなかったことが響いている。

今回馬体写真にくわえて調教VTRもないが、鞍上が乗れている池添騎手に変わり、積極的なレースをしてくれば面白い。

[重賞データ]でお伝えしているように、斤量が軽い逃げ先行馬が人気薄で走っている点からも狙ってみたい1頭。」

マカニビスティー

「手脚の長さなどは父ゼンノロブロイ譲りであると思われるが、骨格がしっかりしている点からパワーもありダートでも走れるよう。

ただ、後肢やつなぎのつくり、手脚の長さから広いコースが合い、ダートはスピードの持続力が要求されるコースが多いため、持ち味を生かしきることは難しい。

坂のある阪神外回りコースなどがベストの条件で、しまいの決め手を生かすレースが合う。

1400mなど短距離をつかわれていた際に距離が延びた方がよく、2000m辺りが最も力を発揮出来るとお伝えしたが、スラッとした体型からもう少し長い距離に適性があると判断するべきであった。

今回馬体写真にくわえて調教VTRもないため取捨が難しいが、かねてより能力は重賞レベルにあるとお伝えしてきた馬で、能力は高く重賞を複数勝てるだけの素質を持っている。

前走万葉Sは、前半1000mのペースが63秒4で推移し、そこから12秒後半から13秒台で推移するやや落ち着いた流れで前残りのレースであった。

勝ち馬より斤量が1キロ重かったことも敗因であるが、今回は逆に上位の馬と比較すると斤量面でアドヴァンテージがある。

過去の傾向をみると、56キロは微妙な部分があるが、他の馬に死角が存在するため、人気がなければ狙ってみたい1頭。」

○ 2011年日経新春杯 馬体診断考察

ローズキングダム

「この馬の最大の長所は身体の柔らかさで、柔軟なつなぎも相まって瞬発力の源となっている。

骨格などは父系のキングマンボの影響と思われるが、その点からパワーも有しており、坂のある阪神外回りコースなどがベストの舞台。

つなぎが長い馬はリーチザクラウンやアサクサキングスなど飛びが大きい馬が多く、やや器用さを欠く馬が多いが、この馬も東京や京都・阪神の外回りコースなど直線が長く広いコースで強い。

朝日杯FSは鮮やかに差し切って勝利したが、中山芝1600mは外回りコースで行われるとため、同じ中山でも内回りコースで行われるスプリングSや皐月賞では割り引いて評価をした。

全体的なフォルム、そしてつなぎの角度が寝ている点 から基本的には広いコースの方が合うためで、有馬記念も内回りコースで行われ、トリッキーなコース形態であるため割引が必要であったが回避。

胸囲の深さや腹のライン、手脚や胴、つなぎの長さなどをみると、しまいの脚を生かす競馬をすれば2400m以上の距離にも対応出来る馬だが、本質は2400m辺りにあり、コースなどを考えてもジャパンカップはほぼベストの舞台であった。

ただ、ブエナビスタの降着もあり勝利したが、レースをみる限り不利がなかったとしても、ブエナビスタの追撃をしのぎ切ることは難しかったのではないかと思われる。

また、後方からレースをすすめたブエナビスタに対して、ペースが落ち着いた中を先行したアドヴァンテージがあったことも事実で、ペースがもう少し流れていれば、より大きな差をつけられていた可能性もある。

とはいえ、東京芝2400mと同じ位この条件は合い、より決め手が要求される点や菊花賞の内容からも今回の条件の方が向くのではないかと感じる。

この春は馬体重が440キロ近辺で推移しており、薔薇一族の血統の馬らしく小型であったが、神戸新聞杯でプラス22キロの体重増であったものの太めを感じさせず、春の写真と比べても上半身を中心にボリュームが増して成長を感じさせた。

また、肩にやや窮屈な部分がある点や、つなぎの角度と相違がある点は能力的にマイナスであったが、その点もかなり解消され、春よりも成長と進化がみられる。

前走ジャパンカップは菊花賞から間隔が詰まっていたこともあり、調教の内容をセーブしていたと思われるが、今回は動きも大変良好で、力を出せる状態にありそう。」

ルーラーシップ

「母は天皇賞(秋)とオークスを制し、ジャパンカップでも2年連続で2着に入った名牝エアグルーヴという良血。

半姉アドマイヤグルーヴはエリザベス女王杯を連覇したが父サンデーサイレンスで瞬発力タイプに出ており、同じく半姉のポルトフィーノは父がクロフネでパワー型に出ていた。

また、半兄にあたるフォゲッタブルは父ダンスインザダークの産駒らしく長距離で実績があり、兄妹はそれぞれ父の特徴が出ている。

ただ、この馬はカチっと身体のつくりやフォルム、全体的なバランスなどから、母エアグルーヴあるいは母の父トニービンなどの影響が強いタイプと思われる。

母エアグルーヴも天皇賞(秋)、オークス制覇、そして2年連続ジャパンカップ2着など東京コースに実績が集中しているが、この馬も跳びの大きさなどから東京コース、あるいは阪神や京都の外回りコースで真価を発揮するタイプと考えられる。

前走有馬記念は展開や枠、そして状態などもよかったが、やはり中山のコースがマイナスとなったものと思われ、今回京都外回りコースに条件が変わることは大きなプラス材料。

全体のボリュームや骨格からパワーやスピードなど総合力で勝負をするタイプで、瞬発力勝負よりも先行してスピードを生かす競馬が合う。

距離は母と同じく2000mから2400mがベストで、瞬発力にベクトルが傾いたタイプではないものの、このレースで求められる決め手も有しており、レースの条件も合う。

名馬の条件である皮膚の薄さなども母譲りで背中のラインからも能力の高さを感じさせ、今回皮膚の質感がよく馬体に張りもあって状態も上々で、調教の内容もやや地味ではあるものの、しまいの反応などはよく、力を出せる状態にある。

レース時計をみても[前哨戦のポイント]で解説したとおり、鳴尾記念は優秀な内容であったが、プリンシパルSを1分59秒1という時計で勝っているが、距離が2000mに変更された2003年以降最速の時計。

オークスを勝ったオークスを勝ったサンテミリオンが同じ東京芝2000mで行われるフローラSを2分0秒2というレコードで勝利していたが、その時計や過去の時計などと比較してもレベルの高い時計であった。

また、この春は全体的に貧弱なイメージがあったが、秋になって明らかに全体的なボリュームが増してきており、上半身と下半身の輪郭もくっきりしてメリハリもあるため太め残しではなく大幅な成長がうかがえる。

不安材料があるとすれば、後手を踏み瞬発力勝負になるケースと、跳びが大きいため道悪になるケース。

とはいえ、58キロを背負ったローズキングダムに対して、56.5キロと1.5キロのアドヴァンテージがあり、スケールでは引けをとらず状態もいいため、高い評価が必要となる。」

ゲシュタルト

「背中のラインや全体のバランスも美しく、G1でも好勝負出来るだけのものを持っており、時計などを見ても非凡な才能を持っていることが分かる。

京都新聞杯を2分12秒8という時計で勝利しており、距離が2200mに変更された過去8レース(~2009年)では、2分13秒以下で走って連対した馬が6頭いるが、そのうち4頭がのちのG1レースで結果を残している。

2005年1着インティライミがダービー2着、2004年1着ハーツクライが有馬記念勝利、2004年2着スズカマンボが天皇賞(春)勝利、2002年ファストタテヤマが菊花賞2着などG1レースで連対。

今年は馬場状態がよかったこともあるが、勝ち馬のゲシュタルトが2.12.8とこの水準をクリアする時計で走っていた。

ダービーでこの馬より上の順位のエイシンフラッシュ、ローズキングダム、ヴィクトワールピサの3頭がいずれもG1馬であることを考えると、必然的に高い評価が必要となる。

3走前のセントライト記念は想定外の速いペースとなり、先行する競馬をして敗れたが、中山のコース形態も合わなかったことが大敗の要因で、結果を完全に参考外として扱う必要がある。

また、菊花賞の敗因には不透明な部分があるが、前走中日新聞杯は[前哨戦のポイント]で触れたとおり、かなりのスローペースで、有馬記念3着トゥザグローリーと中山金杯1着コスモファントムに先行されては届かない。

昨秋はあまり結果が伴わなかったが、参考外とするようなレースがほとんどで、セントライト記念では調教の動きなどをみると、まだ本物ではなかったが前々走菊花賞、前走中日新聞杯と鋭さが増してきている。

この秋は体調がいいようで前走も調教で評価をしてきたが、今回の調教の動きをみても、状態の良さをキープしている印象。

馬体写真を見てもすっきりと仕上がっており、この秋は体調がよかったものの、いまひとつ結果に結びついていなかったのは、やや馬体が立派過ぎた点も影響しているかもしれない。

そういった部分の変化が大きくプラスに作用することもあり、能力の高さからも押さえることを検討したい。

馬体をみると、胴や手脚の長さから直線の長いコースがいい馬でペースが落ち着けばこの距離も問題ない。

ただ、上半身と下半身のボリュームが均等な点などは、母の父エンドスウィープの影響を強く感じさせ、先行していいタイプで、決め手で勝負をするタイプではないためレースの適性では劣る。

それだけに、ヒモとした方がいいのではないかと感じる。」

ヒルノダムール

「手脚の長さや薄手な馬体のラインなどみると、父系のサンデーサイレンスの影響が強く、腰のつくりなどからもキレ味があるタイプで、肩の角度や胴の短さなどから2000mから2400mがベストの距離。

若干重心が低めのため内回りコースをこなすことが可能だが、基本的に直線の長いコースで決め手を生かす競馬が合い、このレースの適性は出走馬の中でも高い。

菊花賞では3番人気に評価をされていたが、潜在的なスタミナの部分などや過去の傾向を考慮して、馬券の対象から外した。

また、3走前の札幌記念も時計が速い先行有利の馬場状態で評価を割り引いたが、さしてペースも上がらなかったため後方から競馬をしたこの馬の出番はなく、両レースとも参考外として扱うことが出来る。

最も状態がよかったのは調教でA評価として皮膚の質感なども抜群であった皐月賞で、前走鳴尾記念でも調教の動きが良かったため評価をしたが、今回その時よりも内容が地味に映る。

日本ダービーの際にも馬体に緩さがあり、調教の動きも皐月賞ほどではなかったため、人気になっていたが馬券の対象から外した。

今回も馬体をみると、腹周りがボテっとして全体的にやや立派に映って首さしもやや太く感じられ、余裕残しである可能性があり、当日大幅な体重増があれば大きく割り引いて考える必要がある。」

コスモヘレノス

「3歳春の弥生賞では高い評価としたが、この時点では上半身に窮屈な部分があり、その点が能力や距離面でマイナス材料となっていた。

今回馬体写真をみると、その部分がかなり緩和されており、フットワークもかなり大きくなり、その点が3歳春や夏よりも結果を残している要因と思われる。

休み明けのセントライト記念では大敗したが、その次のレースとなる本栖湖特別を2着に0秒2の差をつけて完勝。

未勝利からの脱出が4走目で、血統的にもロベルト系とレースをつかわれて良くなってくるタイプのよう。

そして、前々走のアルゼンチン共和国杯では3着に敗れているが2分30秒0といレコード時計で決着。

前半800mの時計が47秒2と速く、道中のラップも12秒2辺りで推移し、レース時計からもハイレベルな内容であったが、51キロという斤量ではあるものの3歳馬が、この時計で馬券に絡んだことには高い評価が必要。

2010年 トーセンジョーダン 2.30.0 前半47.2 後半48.0

7.0-11.1-10.8-12.2-12.2-12.1-12.2-12.3-12.1-12.2-11.8-11.6-12.4

また、その次のレースとなるステイヤーズSでは快勝しているが、アルゼンチン共和国杯で2着に入ったジャミールも2着にきており、レースレベルの高さの証左といえる。

腹のラインや上半身のつくりをみると、父系のロベルトならびにグラスワンダーの影響が強いようで、心肺機能が高い。

また、それにくわえてつなぎの長さが跳びの大きいフットワークにつながっており、その点が他のグラスワンダー産駒よりもより長い距離に適性があることにつながっている。

脚質的な部分や今年のメンバーであれば、上手く軌道にのって菊花賞へ出走していれば好走していた可能性は高い。

跳びの大きさから本質的に広いコースの方が合うと思われ、京都の外回りコースへ変わる点は歓迎材料となるが、このレースの過去の傾向をみると、[重賞データ]を解説したとおり、まず決め手が要求されることが分かる。

今回皮膚の質感などが良好で太めもみられず、調教の動きも申し分ないが、キレ負けする可能性がある点だけはマイナス材料となる。

ペースが落ち着いて展開の恩恵を受けることも考えられるが、瞬発力勝負となれば分が悪い。」

ビートブラック

「兵庫特別(1000万条件)を勝った後、菊花賞では3着に入っており、その次のレースとなるオリオンS(1600万条件)でも勝利と波にのっているが、菊花賞ではペースが落ち着いて展開に恵まれた部分もある。

上半身のボリュームが発達しており、骨格などをみても持続力にベクトルが傾いた馬で、先行した方がよくペースもある程度速い方がいい馬。

心肺機能は高そうで、距離は2400m以上がよく、また股下の高さから広いコースの方が力を発揮出来ると思われるが、決め手で劣るため、このレースの適性は劣る。

過去の馬との比較ではデルタブルースにタイプが似ている印象で、より潜在的なスタミナが要求される時計のかかる馬場の方が力を発揮でき、パワータイプに出ているため坂のあるコースも苦にしないはず。

ただ、持続力タイプに出ている馬であるが、後肢の飛節がまっすぐ落ちており、くの字に曲がった角度のあるタイプであれば、よりスムースに先行出来てエネルギーをロスしないのではないかと感じる。

その部分に齟齬が生じている点は能力的にはマイナスとなり、G1レベルでは展開や馬場状態など何らかの要因がないと好走は難しいと感じる。

状態面をみると、馬体に張りがあって毛ヅヤもまずまずよく状態の良さを感じさせるが、あとは全体的なメリハリがあれば言うことがない。

また、馬場が悪化すればよりこの馬のスタミナが生き、瞬発力が求められないレースになる可能性もあるため、追い風になるのではないかと感じる。

今回ペースが落ち着くと思われ、過去の傾向などをみると、もう少し斤量が軽ければ押さえたいが。」

ナムラクレセント

「肩の角度はやや立っているものの腹のラインや、ややコンパクトにまとまった体型などをみると、かつて天皇賞(春)や菊花賞を勝ったヒシミラクルと共通点がある。

気性的な難しさをみせるためレースや取捨に難しい部分があるものの、上半身や腹のラインをみると距離延長に対応出来るタイプで、先行する競馬が合う。

後方から競馬をするのであれば時計がかかる馬場やペースが速くなるケースで好走の可能性が高いが、肩の角度と腰の角度に相違がある点は能力的にマイナスとなる。

2008年の菊花賞では、オウケンブルースリを除けば後方から競馬をする馬が上位にきているなかで先行して3着にきており、スタミナの裏付けもあり、2400mの距離も体型面からは問題ない。

ただ、このレース向きの決め手がないためレースの適性では劣り、割引が必要となる。

天皇賞(春)で馬体をみた際は、毛ヅヤがよく張りもあって状態は上々と感じたが、今回腹などがボテっとして毛ヅヤもややくすんでおり、少なくとも好調ではない。」

○ 2010年日経新春杯 馬体診断考察

インティライミ

手脚が長く決め手で勝負をするタイプ。

全体的なバランスから中山コースや阪神、京都の内回りコースなどにも対応できるが、重心が低くフットワークがシャープな面からやはり東京や京都の外回りコースなどがベスト。

2400m以上の距離でも実績があるが、ベストは2000mから2400m。

近走結果が出ていない点は気になるものの、前走はG1レース、前々走は重馬場に重い斤量、3走前も斤量とペースが合わなかった点などが敗因と思われる。

今回馬体に張りがあって状態は良好で、あとは全体の輪郭がクッキリしてくればという感じ。

また、調教の動きも良好で前走から上昇している印象。

ネックは過去の傾向から斤量と休み明けで、57.5キロを背負わされJC以来となる面は割引が必要。

ゴールデンメイン

前走ステイヤーズSは11番人気と人気薄ながら2着にきたが、ペースが落ち着いて展開に恵まれた。

毛ヅヤなど状態はまずまずといった感じで、やや余裕があるようにもみえるが、体型からくるもの。

背中の部分がくぼんでいるが、背ったると呼ばれ、腰に疲れが溜まりやすいなどマイナスのポイント。

パワー型のため、平坦コースよりも坂のある中山や阪神などの方が合う馬。

腹のラインなどをみるとかなり心肺機能が強いタイプのようで、骨格などを加味すると潜在的なスタミナや持続力が要求されるレースが合う。

今回は決め手の要求されるレースのため、適性はあまり高くない。

サンライズマックス

薄手な体型をしており、体重も440キロと馬格がないため、前走鳴尾記念の敗因は阪神の坂にあると思われる。

前々走アルゼンチン共和国杯はスローペースと前が止まらない馬場が敗因。

前走調教の動きを評価しすぎたかもしれないが、今回も毛ヅヤがよく張りも悪くない印象。

前後肢のボリュームが均等に近いため、先行する競馬も可能だが、手脚の長さや全体的に薄手なラインから瞬発力勝負にも対応出来る。

坂が駄目な分、平坦コースの方が力も発揮できる。

テイエムプリキュア

肩の周りにやや窮屈な部分があるものの、心肺機能が強く距離は伸びた方がいいよう。

近年は日経新春杯、エリザベス女王杯など京都での実績が目立つが、手脚の長さから広いコースが合い、後肢がやや貧弱な点から坂はあまり合わないためと思われる。

今回調教の動きに力強さと迫力があり、前走よりも上昇している印象。

太めもなく皮膚の質感の良好であるため、状態は申し分ないと感じる。

斤量が昨年の49キロから54キロに増え、エリザベス女王杯の好走も記憶に新しいため、マイペースのレースは難しいと感じるが、それでも押さえておきたい1頭・

トップカミング

薄手な体型をしており、父系のサンデーサイレンスの影響が強いと思われる。

手脚や胴の長さ、つなぎの長さからキレを身上とする馬で、しまいの決め手が要求されるレースが合う。

まだ全体的な肉付きが乏しいため完成度が低く、脚質的な面で後ろからの競馬にレースが限定され、展開にも影響される部分がある。

ただ、この完成度の低さでこれだけ走れるという部分は能力の証でもある。

皮膚の質感や全体的なバランスもいいため、これから成長してくればG1レースでも好走できる器はある。

よりしまいのキレが生かせる平坦コースの京都は合うと思われ、2000mから2400mがベスト。

毛ヅヤもよく、前走の内容などから買いたい1頭。

ベストメンバー

昨年みた際は胴が長くいい脚を長くつかいそうな馬体をしており、前後肢のボリュームなどから先行してもいいタイプであった。

全体的なボリュームが出て脚質などに自在性が出てくるかと思ったが、体型をみるかぎり母の父サクラユタカオーの影響が強くなってきているよう。

皮膚の質感などは父マンハッタンカフェ譲りで、浮き出ていたアバラなども解消され、全体的な肉付きなど成長しており、今後重賞レースあるいはG1でもある程度の活躍が期待できる。

ただ、全体的な輪郭が少しぼやけており、ここからメリハリが出てくればという印象で、肩の部分にも窮屈な面があり、その辺りも解消してくれば。

メイショウベルーガ

父フレンチデピュティはサンデーサイレンスと同様に、母の良さを引き出す。

その点がステイヤー、中距離馬、マイラーといった多様な産駒を輩出することにつながり、芝やダート、道悪など幅広い適性の馬を出す要因となるよう。

しまいの決め手を生かすような競馬をしているが、心肺機能が発達している点から先行した方が持ち味は生きそう。

つなぎの太さや全体的なボリューム、血統面からダートでも走れると感じる。

全体的な張りが良好で、今回も前走とそん色ない力強い調教の動きをみせており、力を出せる出来にある。

-日経新春杯 予想
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