○ 2010年 フェアリーステークス 馬体診断考察
アドマイヤテンバ
母アドマイヤグルーヴは父サンデーサイレンス、母の父エアグルーヴという良血で、エリザベス女王杯を連覇した名牝だが、その母に非常によく似ている。
毛色こそ父クロフネと同じであるが、クロフネのボリューム感よりも手脚が長く薄手な馬体をしており、キレで勝負をするタイプ。
母と同じように瞬発力を武器にする馬で東京や京都・阪神の外回りコースなどが合う。
ただ、飛節の角度などをみると器用さも持ち合わせていると思われ、距離は2000m近辺がベスト。
母よりも身体の柔らかさで劣るものの、G1レースでも好勝負が出来る素材。
ただ、3歳春ということもあるが現時点での完成度は低く、桜花賞やオークスでいいレースをするためには水準以上の成長が必要でないかと感じる。
時期的なものや距離適性などを考えると、この春に活躍が見込まれるのはオークス。
また、つなぎの太さなどをみると時計の速いダートもこなせる可能性がある。
状態をみると、さして冬毛も目立たず、何より太目はない。
調教の動きをみてもセンスを感じさせるフットワークをしており、内容も申し分ない。
ただ、昨年のこのレースで上位3頭を1枠2枠の馬で独占しており、朝日杯FSなどでもいわれるように中山芝1600mは基本的に内枠有利で外枠に入ったこと割引く必要がある。
とはいえ、ここでも能力はトップクラス。
テイラーバートン
前後肢のボリュームなどをみると、父ジャングルポケットよりも母の父ノーザンテーストの影響の方が強いと思われ、全体的なつくりがエアシェイディによく似ている。
また同じ父の産駒であるトールポピーとも胴長な点や大まかな身体のラインなど共通点も多いがトールポピーよりもバランスの面で弱点は少ないものの、皮膚の薄さで劣る。
この馬の方が肩の角度が立ち、つなぎの短さなどから、距離は短めの方がよく、1800m位がベスト。
身体のつくりから先行していいタイプだが、全体的な身体のラインから瞬発力勝負にも対応できる。
ただ、後肢の付け根から飛節までの長さをみると、器用さを欠く印象で中山はあまり合わない。
また、現時点でまだ完成度は低い。
この馬も外枠に入った点はマイナスで、危険な人気馬となる可能性がある。
アプリコットフィズ
母はマンハッタンカフェの全妹で、父ジャングルポケットよりも母方の影響の方が強いようだがスケールの大きさを感じさせる馬で先々面白い1頭。
手脚の長さや後肢の付け根から飛節までがまっすぐ伸びている点から、しまいの決め手を生かすタイプと思われ、
かなり瞬発力タイプに出ている印象。
そのため、器用さを欠き中山は合わないと思われ、この馬も外枠に入った点はマイナスである。
ただ、フットワークをみるとそれほど大きくない点は好ましい材料。
首を下げているため、少し分かりづらいが全体的なつくりをみると、距離は伸びた方がいいと思われる。
牝馬であるだけにこういった距離が延びていい馬であると、活躍できる舞台が限定される可能性がある。
いい条件ではないものの、調教の動きや前走で2着に0秒7の差をつけて勝っている点などから、どういったレースをするか注目してみたい1頭。
毛ヅヤはいまひとつのように映るものの、キビキビと動いておりA評価とした。
その点にくわえて、前走の決め手などは魅力。
カホマックス
コロンとした体型やつなぎの短さなどをみると、短距離あるいはダートでいい馬。
中山は合い距離も悪くなく、枠もいいところに入った。
馬体のバランスは悪くなく、牝馬同士の重賞であればある程度はやれるレベルの馬。
レベルの高いメンバーが集まったが、皮膚の質感など状態も悪くなく、枠や適性を生かせば馬券に絡む可能性も。
ロジフェローズ
母は京都大賞展などを勝ったツルマルツヨシの全姉。
ツルマルツヨシは心肺機能や骨格がしっかりした中長距離馬であったが、この馬は同じタニノギムレット産駒ウオッカに似ている部分がある。
後肢のつくりやや手脚の長さなどからしまいのキレを生かすタイプ。
毛ヅヤは良好で、胸前など筋肉の柔らかさを感じさせる点は好感が持てる。
少しつなぎの長さが見づらい写真であるが基本的にマイラーであると思われる。
ちょっと肩の角度が立ちすぎの点はマイナスだが、能力的にも牝馬同士の重賞であれば充分通用する資質を持っている。
ただ、体型や父タニノギムレットという点から、それほど器用そうなタイプでないだけに、中山のコースは微妙なところだが、土曜日曜とロベルト系の馬がきている点から買いたい1頭。
ラッキーダイス ※ 回避
写真がある馬の中ではこの馬が中山芝1600mの適性は高いと思われる。
父ネオユニヴァースよりも母方の影響が強いようでややパワー型の短距離馬。
ベストは1400mも、中山であれば1600mも持つのではないかと感じる。
ただ、ボリュームと骨格がしっかりしている割に、全体的に窮屈な部分がみられず、馬体のバランスは良好。
立ち姿も美しく、能力的には充分重賞レベルにある。
蹄が薄いため道悪は下手そうだが、ダートもかなり走るかもしれない。
クレタパラドックス ※ 回避
コンパクトにまとまった体型だがボリュームと骨格はある程度しっかりしており、スピードタイプの馬。
上半身と下半身などのバランスに比べて首さしが少し貧弱な印象でその辺りが欠点。
距離は1200mがベストで坂もこなせるとは思うが、平坦の方がいい。
また、蹄の形状から道悪は走るかもしれない。
状態は悪くないが、距離適性はいまひとつ。
○ 2009年 フェアリーステークス 馬体診断考察
ジェルミナル
胴の長さに比べて背中は短く、バランスも非常にいいため、能力は高い。
身体のラインがきれいな馬で、手脚の長さなどみると、しまいの脚を生かす競馬が合う。
そのため、中山の適性はいまひとつと感じる。
ダイワバーガンディ
全体的な骨格にくわえてボリュームから、スプリント色が強い。
つなぎの太さと短さをみると、芝よりもダートの方に適性をみせる可能性がある。
マイルはともかく中山の適性は悪くない。
今回馬体に張りがあり、調教の動きもいい。
アカリ
調教の動きには非凡なものを感じさせ、力強さもある。
東京で勝っている点や、走り方などをみると、中山の適性は微妙でこのレースで結果は出ないかもしれないが、今後も追いかけてみたい1頭。
アイアムネオ
あまりにも情報量が少ないが、中山芝1600mは内枠の先行馬が強いため、狙いたい。
イナズマアマリリス
相変わらず毛ヅヤはいまひとつだが、基本的にコースを選ばないタイプで、1600mの距離も合う。
パールシャドウ
血統的にはダートむきな印象だが、つなぎの細さをみると、芝の方がよさそう。
胴の長さやしっかりした骨格などは、同じクロフネを父に持つスリープレスナイトやフサイチリシャールなどにも通じ、潜在能力は高い。
手脚の長さにくわえてガッシリしているため、器用さの求められる中山の適性は微妙なところ。
カツヨトワイニング
身体の柔らかさにはいいものがあり、全体的なバランスも良好。
つなぎの長さや身体のフォルムをみると、東京などの方が合う。
冬毛が伸びており、状態はいまひとつだが、もう少し全体的に締まってくれば重賞も狙える。